自然災害大国の日本に必須な訪日客への喚起 外国人観光客への災害情報発信の整備が急務

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彼らは電子レンジの「輻射」も禁物なのだ。「電子レンジが動いているとき、前に立ってはいけないよ。できるだけ避けて」と言われながら育てられる。日本では一時期はやった「マタニティ電磁波防止エプロン」も中国では大人気で、10年前にはプチ富裕層の妊婦たちが1枚2、3万円の価格で日本製のものを買っていた。

スマートフォンの普及が世界一といえるほど進んでいる中国だが、できるだけ電子製品を孫から離れさせようとしている祖父母も数多くいる。「見えないからこそ怖い」「わからないから避けたほうがいい」「将来なにか影響があるか誰もわからないから離れるしかない」という心理が働いている。

今でも東北地方ないし日本に旅行に行く大人になった子どもを、親が一生懸命止めようとすることすらあるのだ。

個人観光で1回目の訪日をする際、東北六県(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)のいずれかの県に1泊以上する中国人に対して東北六県数次ビザを発給するというビザ緩和政策もある。

今では、青森県を中心に東北地域が少しずつ人気になってきているが、敬遠している中国人がまだ多い。現在、原子力規制委員会が公表している放射線モニタリング情報などを積極的に中国人に提供し続けることが重要だろう。

まずは10月の国慶節が控えている

近年の日本では地震や台風・異常気象の被害は珍しいことではなくなった。飛行機やクルーズ船の欠航や宿泊施設への一時的なキャンセルがあるかもしれないが、観光客からみると見えない怖い後遺症がないので、一定期間を過ぎたらまた戻ってくる。

7月豪雨の影響があったが実際には、増加率が少し鈍化したものの、8月の訪日中国人観光客数は86万人になり、8月として最高であった。10月の国慶節も迫っているため、自治体やインバウンド関連企業は、いかに最大9日間の中国の大型連休を活用し、たくさん消費してもらい、リピーターになってもらうためにも、もっと真剣に検討する必要がある。

中国のSNS投稿やメディアの報道をみると、震災が発生した後、日本と日本人の素質を肯定する情報が非常に多い。

空港に閉じ込められたとしても、スタッフも乗客も大騒ぎをせず静かに待つこと。地震の後、食料品などを心配しているはずなのに、コンビニの前の長い行列に割り込もうとする人がいない……。中国では、恐らくなかなか見ることができない風景だ。

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