自然災害大国の日本に必須な訪日客への喚起

外国人観光客への災害情報発信の整備が急務

また、以前も書いたが、日本は中国に比べると共通認識がはるかに多いため、お互いの交流や対応がわかりやすい。したがって、日本の震災後の報道、あるいは自分がその震災を経験した中国人は、日本人の非常事態に対する「余裕感」に驚き、感動する。

東日本大震災のとき、留学先のアメリカから成田経由で北京に帰国する20代の中国人女性が成田空港にいた。一夜を空港で明かすことになり、人生で初めての地震に恐怖を感じ、ひとりぼっちで動揺していたとき、近くにいた日本人男性が彼女に自分の毛布を渡してくれた。

片言の英語で、「大丈夫だよ。きっと助けに来るから安心して。女の子だから暖かくして」と声を掛けてくれた。その女性はたいへん感動を受けた。「飛行機がいつ飛ぶかもわからないし、とても寒かったのに、知らない人に毛布を渡して、そして慰めてくれるなんて。なんという優しさと余裕だろう」と。

その後、彼女は大の日本ファンになり、年2、3回来日するようになった。

一刻も早く着手すべき問題も

震災のとき、このような「美談」が取り上げられるが、それよりも重要な問題がある。報道各社でも報じられているが、日本では震災が起きた際に外国人向けの情報発信があまりにも少なく、観光立国としての大きな課題に直面しているということ。

外国人観光客の行動を「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」の3つに消費ポイントを分けて考えてみるように、訪日外国人向けの震災対応も同じ軸で考えるのが効率的である。

なお、以下の前提として、すべての対応は正しい外国語で発信することを念頭に置いていただけたらと思う。

「旅マエ」について、小さい頃から防災訓練を受けている日本人と違い、震災対応に関する知識が少ないのが外国人観光客の共通点である。訪日中国人は、必ず旅行会社経由で観光ビザを取得しなければならない。

たとえば、ビザを取得し本人にパスポートを返送する際、イラスト入りの簡単な震災発生時のアクションを記載したパンフレットを添付することが考えられる。基本的にSNSからしか情報収集をしない訪日中国人に向け、公式アカウントでわかりやすい紹介動画、投稿の拡散も望まれる。

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