安室奈美恵と知事選に映る沖縄人の世代格差 彼女を誇りに思う若者がとらえる基地問題
那覇の街は、安室奈美恵さん一色に染まっていた。
観光客があふれる国際通りのあちこちにはポスターが飾られ、彼女が愛用していた膝丈のニーハイブーツをはいたアムラーたちが闊歩する。どの店からも聞き覚えのある歌がエンドレスで流れている。あちこちのビルに巨大なポスターが現れ、彼女の毅然とした眼差しが、街を見下ろしている。
9月15日、芸能界を引退する安室奈美恵さんのラストライブが約3000人限定で沖縄県宜野湾市のコンベンションセンターで開かれ、翌日には、その脇のトロピカルビーチで1万2000発の花火が打ち上げられた。チケットの抽選に外れたファンも全国から集まり、花火大会には3万人を超える観衆が集まった。
16、17日付の地元紙(琉球新報、沖縄タイムス)に安室さん大特集が組まれると、配達される午前3時過ぎには、ファンがコンビニを回って買いあさり、ホテルでも朝5時前には売り切れた。街から新聞が消える事態となった。
仕方なく、私は30度を超える炎天下に沖縄タイムス本社前でファンが作る長蛇の列に約40分も並び、ようやく手にすることができた。
安室奈美恵さん一色の中で告示された沖縄県知事選
おりしも沖縄では辺野古基地建設に抵抗してきた知事の翁長雄志氏の急逝に伴う知事選が9月13日に告示。30日に投開票が予定されている。
翁長氏の後継に指名された玉城デニー氏は、辺野古基地建設に反対を唱える一方、自民・公明など政権与党の後押しを受ける前宜野湾市長の佐喜眞淳氏は、基地建設への旗色を鮮明にしていない。事実上、この2人の一騎打ちとなる。
「イデオロギーよりアイデンティティ」というフレーズを引っ提げて、翁長氏が辺野古基地の建設容認に転じた現職の仲井眞弘多元知事を破って当選したのは4年前だ。
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