「チョウさん(34歳、仮名)と、結婚に向けて真剣に向き合ってみたいと思います」
先日、秦野周平(42歳、仮名)から、連絡が入った。
周平は、大学を卒業後、IT企業から現在のメーカーに転職をした。年収も見た目も悪くない日本の平均的なサラリーマンだ。だが、婚活を始めて10カ月の間、お見合いの後に交際に入っても、断ったり、断られたりで、なかなかいいご縁と巡り合えずにいた。チョウとは、2カ月ほど前にお見合いをした。
日本が大好きな中国人女性
チョウは、在日の中国人女性だ。中国の大学で語学を学び、教員資格を取った。卒業後、何度か日本を訪れているうちに日本が大好きになり、現在は中国人が経営する日本の会社に勤めている。会話にはまったく不自由することなく、日本語を話す。できることなら大好きな日本で暮らしたいと願っており、日本人男性との結婚を視野に入れて、結婚相談所に登録をし、婚活を続けていた。
周平は言った。
「チョウさんと話していると、生きる力を強く感じるんです。それは、ガツガツしている野心ではなく、日本人が忘れてしまった原始的な生きる力というのかな。日本人でもバイタリティのある女性はいるんでしょうけど、お見合いではそういうタイプには出会わなかった。食事して、趣味や好きなものの話をして、何か無難な会話をして終わっていた」
そこにいくと、チョウとの会話は新鮮だった。
「チョウさんは、中国が一人っ子政策をしているときに生まれている。だからというわけではないのかもしれないけど、人の命に関する考え方とか、兄弟がいることへの思いとか、しっかりとした自分の意見を持っている。気楽に生きてきた僕は、頭をガツンとやられた感じがしました」
周平が、お見合いをした相手をこれほど熱心に、前向きにとらえて話してくれたのは初めてのことだったので、私は、このまま2人のお付き合いを温かく見守っていこうと思っていた。
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