リンガーハット、690円贅沢メニューの衝撃 「プレミアムちゃんぽん」に秘められた戦略
「ただし、リンガーハットを支持してくださっているお客様が使いづらくなってしまっては本末転倒です。ですので、“いつもよりちょっとリッチ”をコンセプトとしました」(堀江氏)
実際の店舗を見ると、外観、内装を含め店の雰囲気は普通のリンガーハットとまったく異なっている。壁には長崎の風景をあしらった絵皿が飾り付けてあり、商品ポスターなどの掲示物も高級感の漂うデザイン。スタッフの制服も縦じまのエプロン&帽子と、小粋な感じだ。
いつものちゃんぽんとの違いは?
では、商品に違いはあるのだろうか? メニューの写真を一見したところでは、高級感のある器が使われているということぐらいで、違いはわからない。そして値段は、ちゃんぽんが通常590円のところ、690円と、100円高い。
「100円でできることのなかで、価値を感じていただけるように努力しています」(堀江氏)
まず大きな違いは、“いかげその復活”だという。数百店舗という規模になって以来、材料の調達が困難なため、同店のちゃんぽんから姿を消していた具材だ。また昔はげそと言えば味はいいのに値段は安い、庶民の味だったが、今は価格が上がってきているらしい。
「それから、スープの塩分を下げて、うまみ、コクなどをプラスしています。上に千切りキャベツを炒めてトッピングしていますが、これがスープに甘みを加えています。ただ、非常に微妙な違いですから一般の方にはわかりにくいかもしれません」(堀江氏)
そのほか、野菜の品数が1品多いなど、微妙な違いがある。
オープン後の反響は予想より30%増しで、非常に好調とのこと。平均して日に350人程度が訪れる。これは普通の長崎ちゃんぽんと変わりないが、客単価が違う分、収益もアップするわけだ。
どんな客が訪れるのだろうか。まず第1は、根強いリンガーハットファン。同店の近隣に普通のリンガーハットが点在するにもかかわらず訪れる。これらの客の大きな来店動機は「何がプレミアムなの?」という好奇心だという。第2に、これまでリンガーハットを利用しない客層。つまり、観劇やショッピング、観光目的で日比谷界隈を訪れる客層だ。
男女比およそ6:4という、ラーメン・めん類を扱う店としては高めの女性比率を誇るリンガーハットだが、プレミアム店ではさらに女性7〜8割となる。確かに、プレミアム店なら、1人客の女性でも抵抗なく入れる。普通は置いている半量ちゃんぽんがメニューにないのが残念だ。観劇前などにちょっと食べるのに、需要は高いのではないだろうか。
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