新人で最多勝。ヤクルト小川のすごいメンタル 小柄で球も速くないのに、小川が勝てる理由

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一般的に、勝てる要素のひとつとして「調子が悪くても、試合を作ることができる」が挙げられる。この点で、小川は特に秀でている。

8月3日、神宮球場で行われた広島戦。先発の小川は持ち味のコントロールに苦しみ、序盤から何度も得点圏に走者を背負った。4対0で迎えた5回には、ヒットとふたつの四球で1死満塁のピンチに立たされる。小川は「最悪、ホームランを打たれても同点。逃げずに、ストライクゾーン内で勝負しよう」と開き直り、2番の菊池涼介、3番の丸佳浩をストレートで連続三振に斬って取った。このピンチを凌いだことが大きく、シーズン12勝目を手にした。

調子が悪くても勝てる理由

野球に限らず、ピンチを切り抜けるには「開き直れ」と言われる。小川がそうできるようになったのは、プロに入って以降だ。イメージとして大学時代のリーグ戦は勝ち点を落とせない短期決戦の繰り返しだが、プロは7カ月をかけて144試合を行う長期間のリーグ戦。置かれた環境が変わり、考え方を変化させた。

「大学時代は『1点もあげられない』という気持ちで投げていました。プロでは試合を作って、チームが勝てばいい。長丁場なので考え方が変わりました。そうなったのは、『1年間のトータルの成績が大事』と言われてからですね。開き直るためには、その場、その場でいろいろ考えています。どういう気持ちで投げればいいか、とかですね。プロに入ってからできるようになりました」

ピンチを脱する術を考えることで、冷静になれるのだろう。それが小川にとって、開き直る方法だ。

加えて調子が悪くても勝てる理由には、技術的な武器もある。自身と相手打者とのタイミングを見極め、フォームの間を変えるのだ。

夏場の疲労もあり、1カ月間勝ち星から遠ざかっていた9月8日の中日戦。9回を投げて被安打4、1失点の好投で13勝目を飾った要因には、左足を降ろすタイミングを変えることで、バッターのリズムを狂わせたことがある。

「最初から相手のタイミングをずらす意識ではありません。粘りのあるフォームで、自分のボールを投げるのが大前提。自分のフォームで投げた真っすぐにタイミングが合っていると思うバッターには、左足を降ろすタイミングを変えています」

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