日本の大都市は洪水への対策が遅れている

台風など豪雨の増加で対策が急務に

科学者は、これには地球温暖化が関係していると指摘する。東大の片田氏は「地球温暖化は海洋気象において一足先に進んでいると言われる。平たく言うと、海水温が高ければ膨大な水蒸気量が上がる。だから1回の雨が非常に多いということになり、台風も強大化しやすい」と述べた。

9月初めにも、西日本を襲った台風21号による高潮で関西国際空港が浸水し、一時閉鎖された。この台風では少なくとも13人が死亡した。

避難の困難さ

8月下旬、東京東部の海抜が低い地帯にある江東5区が共同でハザードマップを発表し、大規模水害の際には合計約250万人の住民に避難を呼びかける方針を示した。

ハザードマップには、それぞれの区域でどの程度の浸水被害が起きるか、どのくらいの期間水害が続くかが示されている。

しかし、7月の西日本の水害では、あらかじめ配布されていたハザードマップの内容についてきちんと確認していない住民が多かったことが明らかになった。

リバーフロント研究所の土屋氏は、今回のハザードマップでは、およそ90%のエリアが水没する結果になったとし、そのエリアの住民250万人に、中央区、千代田区、北区などの水没する地域、そこで昼間働いている他の地域からの300万人を加えると「この大規模水害がもし昼間に起こったとすると、500万人を超える人々を避難させなければならないという大災害になってしまうだろうと考えられる」と警告する。

自民党からは、自然災害に備え「防災省」を設置すべきという声が出ている。安倍晋三首相と総裁選を戦っている石破茂氏が、選挙戦で必要性を強く訴えている。

一方、安倍首相は「一考に値する」としながら、慎重姿勢を示している。現在、災害発生時には首相官邸が対応を主導している。

企業も洪水のリスク対応を始めている。東京海上日動リスクコンサルティングの主幹研究員・指田朝久氏によると、同社ではこれまで地震の場合の事業継続計画(BCP)に関する依頼が多かったものの、「やはり水害などを念頭に置かないと、ということで、そういう相談が増えてきているのは確かだ」と述べた。

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