日本の大都市は洪水への対策が遅れている 台風など豪雨の増加で対策が急務に
[東京 12日 ロイター] - 地震への備えの重要性は昔から認識されてきた日本だが、近年、大規模な台風に次々と見舞われ、新たな自然災害の脅威に直面している――洪水だ。
東京で、大雨により河川の堤防が決壊し洪水が起きた場合、海抜の低い東部地域では数千人が死亡、500万人以上が避難する事態になるとの専門家の見方もある。
短時間に大量の雨が降る現象が増加
東京だけではない。東京大学特任教授の片田敏孝氏は地球温暖化との関連で、日本全体で短時間に大量の雨が降る現象が増えていると指摘。
「日本の3大都市圏は、いずれも大きな河川の最下流部で、なおかつ(海抜)ゼロメートル。その中で、こんな(記録的な)雨が降り出した。台風も巨大化している。国家的な危機管理の問題であり、いわば国難と言われるような状況に、日本の大都市圏は置かれているという認識でいる」と話す。
7月には、西日本の一部で1000ミリを超える大雨により河川の堤防が決壊、土砂崩れで家屋が倒壊し200人以上が犠牲となるという36年ぶりの災害が起きた。
『首都水没』の著書があるリバーフロント研究所の土屋信行氏は「こんなことがあれば、東京ははっきり言って、壊滅的な打撃を受けるだろうと思う」と語る。
特に危険なのは、約150万人が住む荒川沿いの海抜ゼロメートル地帯。土木学会は6月、この地域で大規模な洪水が起こった場合、死者2000人超、被害額は62兆円に及ぶとの試算を公表した。