「荒川氾濫、銀座水没」は本当に杞憂なのか 荒川決壊の可能性はじわじわ増加している
隅田川との分岐点などで荒川の堤防がついに決壊。地下鉄網を経由して水は東京駅前や銀座にまで達し、日本の経済活動はマヒした—。2012年にYouTubeに公開されたフィクションドキュメンタリー動画「荒川氾濫」では、ショッキングな映像が相次いで出てくる。これはイタズラなどではない。国土交通省の荒川下流河川事務所が公表した啓発用の資料だ。
カウントダウンは始まっている?
動画では上流である埼玉・秩父地方で3日間に計550ミリを超える雨が降れば堤防決壊の恐れがあり、「その日へのカウントダウンは既に始まっているのかもしれない」としている。一方、鬼怒川の水害では台風の影響により、上流地域で24時間で551ミリと、このレベルをはるかに超える雨が降った。
内閣府などによると、荒川氾濫が起きれば地下鉄の最大17路線97駅が浸水すると同時に、3500人が死亡する。被害総額は33兆円、影響人員はのべ1400万人に達する可能性がある。
国交省水管理・国土保全局の元永秀・大規模地震対策推進室長は「近年では異常気象の影響で、狙い撃ちしたかのように局地的・集中化・激甚化して雨が降るようになっている。鬼怒川の水害でもそうだった。想定を上回る災害は必ずやってくる」と、社会全体で備える必要性を強調する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら