「荒川氾濫、銀座水没」は本当に杞憂なのか 荒川決壊の可能性はじわじわ増加している

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坂本工場長は「電気供給の停止に備えて自家発電装置導入も考えたが、費用面もあり、そこまではいっていない」と率直に"身の丈"ぶりを語る。その上で「この辺で荒川決壊に危機感を持つ人は正直、少ないかもしれない。川自体から立派な堤防までの距離が非常に長いから。しかし、私が住む埼玉県越谷では3年前に竜巻が発生して近所の家が滅茶苦茶になった。あれ以来、何が起きてもおかしくないとの思いもある」と話した。

天災は忘れた頃に

取材の後、工場からほど近い荒川の河原まで歩いてみた。冒頭に紹介した決壊予想地点と同様、向こう岸は非常に遠く、霞んで見えるほどだ。どうしても「氾濫なんて杞憂ではないか」という感覚になる。

しかし、この1月には奄美大島で115年ぶりに雪が降った。また、東日本大震災で押し寄せた津波が、過去の災害の教訓に基づいて強化されていた防波堤を、あっさり突破したのも記憶に新しい。「天災は忘れた頃にやってくる」との格言が示すように、人間は自然の脅威に虚を突かれ続けてきた。「ありえない」ということもまた、ありえないのだ。

駅 義則 東洋経済オンライン編集部

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えき よしのり / Yoshinori Eki

1965年、山口県生まれ。1988年に時事通信社に入社し、金融や電機・通信などの業界取材を担当した。2006年、米通信社ブルームバーグ・ニュースに移ってIT関連の記者・エディターなどを務めた後、2015年9月に東洋経済オンラインのエディターに。現在の趣味は飼い主のない猫の里親探し

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