「ハプニング」が前提のキャリア作り 岡崎仁美「リクナビ」編集長×森山たつを対談(3)
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内部で潰し合うよりも海外で切り開くことを選ぶ
——今年の就活の内定がだいたい出そろった時期ということで、2013年度の就活の状況や内定率、震災以降の変化、それからアベノミクスの影響などを教えていただけますか?
岡崎:国内の新卒就職で言うと、直近の底は2011年度卒、2012年度卒あたりです。2008年のリーマンショックの影響があり、就職内定率が落ち込みました。2012年度の卒業生は、就職活動の真っただ中に震災に遭い、採用活動スケジュールの変更により、活動が長期化するといった逆風が吹いていました。
その頃に比べると、2014年度の卒業生は景気も好転してきており、内定率は昨年を上回る数値で推移しています。今年8月1日の時点で就職希望者の72%が内定を取得している結果で、一時期の暗闇の時代は超えたということは言えると思います。
森山:震災以降は、何か就活に変化はありましたか?
岡崎:震災以降、就職活動に関して「地元志向がより強まったのではないか」「より自分の価値観を重視する傾向になったのではないか」ということがよく指摘されましたが、今年の就活は景気回復のムードを受け、やや大手企業志向になったり、地元より都会を選んだりといった「ゆり戻し」傾向が見られています。
一方で、前々回で申し上げたような先行きの不安からでしょうが、学生の労働環境に対する関心が顕著に高まっていると感じます。長時間労働や残業代不払い、パワハラ、セクハラ、いじめに対する漠然とした恐怖心です。学生は実際の職場経験がないので、なおさら不安が増すのです。
特に女性は結婚したら仕事を続けられないイメージがある業界は、避ける人が多くなっているように思います。男女を問わず、長い期間、安定して働けるかを重視する学生も多いです。
自分の身を守らなければという生存本能が、ずっと強く働く状況にあるとすれば、「セカ就」を「長く登れる山」のひとつとして考えるのも妥当な気がしてきます。人口減少や内需縮小といった問題を抱えている日本よりも、この先、発展していく国々で経験を積むことで、長くアドバンテージを持って戦えるととらえている人もいるでしょう。