「ハプニング」が前提のキャリア作り 岡崎仁美「リクナビ」編集長×森山たつを対談(3)
森山:なるほど。つまり企業側も、労働力の補填というよりは、本当に会社に合う人材を見つけるために、ある意味、投資としてインターン制度を設けているということですね。
岡崎:採用した後に「合わないから辞めてもらう」なんてことができないのが日本の労働法なので、企業は採用に慎重です。せっかく採用した人がすぐに辞めてしまうと、企業にとっては大きな損失ですし、人事も現場から責められてしまいます。
試職は、企業にとってはコストやパワーのかかる一見、非効率な手法に見えますが、新入社員のその後の定着率がよくなるのであれば、むしろ効率的な投資ともなりえます。企業が「試職」を取り入れる理由は、相手とのフィット感を確かめ合い、入社後のミスマッチを解消すること、それが第一です。
「合うか合わないか」の直感を信じる
――就活する学生や転職を考えている20代に向けて、何をポイントにして働き、今後のキャリア形成をしていけばいいか、アドバイスをいただけませんか?
森山:あまり自分の中にボーダーを作らないほうがいいと思います。「グローバルに働くんだったら海外に行かなきゃいけない」とか、「俺は海外で働きたくないから日本のローカル企業に行こう」とか、そういうつまらない境界線を作らないで、とりあえず自分がやってみたい仕事を、まず一生懸命やってみる。そうすると仕事ってだんだん展開していくんですよね。
たとえば、開発者として国内だけでやっていきたいと思っていたけれど、半導体の開発をしていたら、海外にすごい技術を持った人々がいることを知るようになる。だったら、彼らと一緒に仕事をしたら面白いんじゃないか。そうやって、海外の研究所とコネクトして共同開発するといった場面に、自然に出合っていくと思うんですよね。
学生のうちに「世界で働かなければならない」と、無理に背伸びするのも疲れ切ってしまうだろうし、逆に小さくまとまって「自分の守備範囲から絶対出ない」と考えるのも、人生の選択肢を減らしてしまうと思います。
そこをもうちょっと自然体で、やりたいことをやって、チャンスがあればトライして、どんどん可能性を広げていくと、これから幸せになれるのではないかと思います。