「現在、不定期に受けている夜の仕事を、曜日を設定してまとめて受注する。つまり夜がさらに遅くなる日をあらかじめ決めてしまう」
週に2、3日、深夜まで仕事を入れることにすれば、逆にそれ以外の日は早く帰宅し、夕方から一緒に家族で過ごせる。フリーランスだからできること、とも言えるが、冷静に受注状況を見ての決断だ。そうすれば陸くんだけでなく秀海さんの生活リズムも整う。そして、実は陸くんは「今日はチチがいない日」とあらかじめわかっていれば、スムーズに美紀子さんと2人で過ごせることは、これまでの経験からもわかっていた。
「チチがいない日はハハとねるよ」
「実は、不定期に勤務時間が変わるより日程を決めたほうが、生活リズムが整うかなとは前から思っていたんです。でも、私が妊娠中で体調が万全でない中でワンオペをする自信がなくて。家事や育児力が高い夫に、少し遅れてでもいいから夜の育児に参戦してほしかったのかもしれません」と美紀子さん。
「陸くんは、チチが夜いないときはどうやって寝るの?」と私が聞くと、ぬいぐるみで遊んでいた陸くんは顔を上げ、当然でしょ、という感じでこう答えた。「チチがいない日はハハとねるよ。それでね、ハハがあかちゃんをうみにびょういんにいくときは、チチと、ねるんだよ」。
陸くんのこだわりだけが、夜リズムの崩れの原因ではなかったのだ。
一応の結論を得た家族会議から数週間後、安東家の生活リズムはどう変わったのだろうか? 美紀子さんに聞いてみると、うれしい返事があった。
「夫の仕事リズムを一定にしたら、陸も、『今日はチチがいない日』と理解ができて、私と2人で過ごす日も、夫を待たず目標の就寝時間をほぼ毎日守れるようになったんです。やってみて気がついたのですが、夜の時間が乱れていたのは、陸のこだわりのせいじゃなくて、私たち親が生活リズムを一定に作れていないことが最大の要因だったんです」と美紀子さん。
そして今、秀海さんは逆に自分が「ワンオペの日」を作って、身重の美紀子さんに休憩してもらう時間も設けているという(なんてすてきな旦那様だ!)。2人目の赤ちゃんが生まれてからも、このご夫婦ならまた上手に軌道修正しながら、やっていくのだろうな、と思う。
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