夫婦が普段言えない「本音」を語り合う瞬間 家族会議に第三者をあえて入れてみた

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ファシリテーションをする立場として、私は安東家の問題を解決しようとはしなかった。ただ、「美紀子さんはこのことについてどう困っていますか? どうなったら理想ですか?」「美紀子さんはこう言っていますが、秀海さんはどう思いますか?」とひたすら問題を具体的に聞いていくことに徹した。とにかくそれぞれの抱えているものを出してもらうのが目的だ。

「陸は、今、イヤイヤ期と言うより、集中とこだわり期なんです。特に遊びに夢中になると『今はコレ!』と周りの声が一切聞こえなくなる。それに彼の中で、遊び→ごはん→遊び→お風呂という流れがこだわりとしてあるので、軌道修正も難しくて」と美紀子さん。

第三者に質問すると意外と何でも言える

すると秀海さんは「美紀子は陸の希望をちゃんと聞こうとするんです。でも僕が陸と2人のときは、さっさと自分のしたいことをして風呂にも1人で入るから、陸も仕方なくついてくる」と笑う。

「そういえば、この人も陸と同じタイプ。仕事や食事をしているときは、周りが何を話しても聞いてないんです。そして帰宅後は、陸の寝かしつけの前にまず自分の食事、と決めているから、どんどん寝る時間が遅くなっちゃう(笑)」(美紀子さん)

「だから息子の気持ちがよくわかるんですよねぇ」(秀海さん)

夫婦は、面と向かえば相手に気をつかって普段言い出しにくいようなことでも、第三者である私の質問を受けると、スルスルと話してくれる。かといって解決策がすぐ出るわけじゃないが、堂々巡りのようでいて30分もすれば、だんだん気持ちを出し切ってすっきりとしたのか会話の流れが変わっていくのがわかった。

「つまり、秀海さんはそれほど困っていない、生活を変えたくないってことですか?」そう私が聞くと、秀海さんは少し考えて、「いや、そうでもないですね。僕も困っているな。変えたほうがいいことがあると思ってるんだけど……」と手をたたいた。「僕が仕事の時間を変えたらいいんじゃないかな」。

秀海さんの提案はこうだった。

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