下着の色を問う「理不尽校則」が跋扈するワケ 保護者意見の忖度か、合理的な理由はあるか

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“理不尽な管理”が強化されている「ブラック校則」について話を聞く(撮影:梅谷秀司)
ブラック校則 理不尽な苦しみの現実』――8月上旬、こんな本が発売された。なぜいま校則なのか? 昔と比べたら、いまは大して厳しくないのでは? 30年ほど前、校内暴力の余韻が残る中学校でバリバリの管理教育を受けた筆者も、初めは正直そんな印象を抱いていた。
だが本書を読めば、この間日本中の学校に浸透してきた“気味の悪い何か”に気がつくだろう。
たとえば、もともと髪が茶色い生徒に対して、黒く染めることを強要する。生まれつき髪色が黒と異なる証拠として「地毛証明書」の提出を命じる。下着の色を「白のみ」と定め、別の色を着用していないか、女子生徒に対してまで男性教諭がチェックをする。
校則違反だからといって、かつてのような体罰は加えないものの、昔とは質の異なる細かいルールが増えたうえ、チェックも執拗になっており、“理不尽な管理”がむしろ強化されているのだ。
なぜ、ブラック校則が広がったのか? 保護者や教員、そのほかの大人たちは、状況をどう変えていけばいいのか? 本の編者である評論家の荻上チキさんと、名古屋大学准教授の内田良さんに話を聞かせてもらった。

管理主義は昔の話、ではなかった

――この本が生まれたのは、2017年に大阪の女子高生が起こした「黒染め強要裁判」(生まれつき茶髪の生徒が府立高校で髪の黒染めを強要され、精神的被害を受けたとして学校側を提訴)がきっかけだそうですね。最初にこの裁判の話を知ったとき、どんな印象を持ちましたか?

荻上チキ(以下、荻上):まず「こんなひどい事例が、まだあるのか」という驚きです。さらにその後の調査で、府立高校の9割、東京都立の全日制高校の6割、近畿圏の7割で「地毛証明書」を求める指導が行われていることがわかって、また驚きました(大阪府、朝日新聞、産経新聞による調査)。「まだやっているのか」というだけでなく、昔以上に管理が加速していたんですね。その実態を見て、「いま何が起きているんだろう?」と思いました。

内田良(以下、内田):僕は、学校が人権侵害をやっているところに素朴なショックを受けましたね。教育問題の最大の課題は、「学校にいかに外部の風を取り入れるか」というところで、僕はその問題について頑張って発信してきたのですが、なのにまだ「地毛証明書」なんていう人権侵害、あるいは差別にかかわるようなことをやっていたので。

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