下着の色を問う「理不尽校則」が跋扈するワケ 保護者意見の忖度か、合理的な理由はあるか
そうすればクレームが出てきたところで、ちゃんと話を聞いて熟議していけると思います。モンスターペアレントということにもならないと思うんです。学校の風通しをよくしていくことが、校則に限らず、重要な課題ですよね。
荻上:モンスターペアレントだと思われてもいいと思うんだけれどなぁ。いまはクレーマーとかモンスターとか、異議申し立てをすることはいけないことだ、みたいな風潮があるけれど、そこを変えないと、子どもも保護者も学校に異論を言うことができない。だから保護者はむしろ、率先してクレーマーになったほうがいいと思うんですけどね。
そもそも社会運動って、めんどくさいと思われなければ成立しないんですよ。ボイコットとかストライキとかデモとか、意図的にコンフリクト(紛争)を起こして、「これは無視できない」という状況にするものですから。めんどくさいと思われなきゃ、勝てないんですよ。
――なるほど、保護者はむしろ、めんどくさくあるべきなんですね。
先生も保護者も理不尽には「ノー」を
――これから理不尽な校則を変えていくために、おふたりはどんなことが必要だと思われますか?
荻上:私は世論を喚起するのが仕事なので、「校則によって苦しんでいる子がいる」ということに対する問題意識を多くの人にもってもらうことも重要だと思っています。組み体操や部活動、2分の1成人式なども同様ですが、問題の状況をメディアの報道という形で押し上げて世論を作っていく。こうしたことを通じて、保護者などの当事者意識を変えていく。そうすると、省庁として動こうとか、政治家も国会で質問しよう、といった形で事態が動いていきます。
文科省には「さすがに、これは」というような校則をリスト化して通達を出してほしいですね。たとえば「下着の色をチェックする指導をやめる」とか。あとは「校庭を何周させるというのをペナルティにしてはいけない」といったNG例を明示する。これはすでに体罰のほうで通知が出されているのですが。
――それは、PTAについてもぜひやってほしいです。「本人の意思確認をせず会員にしない」とか「勝手に会費を引き落とさない」とか「仕事を強制しない」とか……。あとは、先生たちの業務を減らすことも、校則に限らず、いろんな学校の問題を改善する前提として必要でしょうか。
内田:そうですね。先生たちが忙しすぎると、子どもが何か苦しみを訴えても、そこで十分に向き合えないことになります。校則を違反した子どもたちに対しても同様です。先生たちに余裕がないと、より逸脱しないように、ルールを厳しくしていくことになりやすいので。
荻上:教員を増やし、担任の先生が1人で30~40人の子どもを見る、みたいな状況を変えて、常に担任が2人という状況をつくるとか、いろいろ改善する方法はありますね。
内田:本当は「私も、こういう校則はいかんと思う」っていう先生たちだって中にはいるので、そういう声を学校の内部からも上げていってほしいな、というのも思いますね。管理の方向に突っ走る先生たちもいますけれど、そう考えない先生たちだって結構いますから。
――保護者も先生も、理不尽だと感じたら声をあげていく必要と責任がある、ということですね。おふたりとも、お話をありがとうございました。
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