自治体が行う「外国人マーケティング」の盲点 爆買いするイタリア人、座禅をする中国人
インバウンドにかかわる地方自治体や企業と話していると、よく「どこの国をターゲットにすればいいか?」という質問をいただきます。ターゲットを絞ることはマーケティングにおいてとても重要です。しかし、外国人を「どこの国=○○人」だけでとらえてマーケティングを考えると危険な落とし穴があります。
爆買いをするイタリア人、座禅をする中国人
たとえば、先日、あるイタリア人と仕事をした際のこと。彼らは渋谷や表参道で大量の買い物をしました。服や雑貨やおもちゃ……それこそ大きな紙袋をいくつも抱えてショッピングをしたのです。日本のメディアで「爆買い」というと、大型バスから百貨店に入っていく中国人旅行客が定番ですが「イタリア人だって爆買いする」という現場でした。
では、爆買いイメージの中国人はというと、当然ながら、みんながショッピングばかりしているわけではありません。関西で一緒に仕事をした中国人は、「座禅」が大好きで、日本に来るたびに寺院巡りをしています。あるいは別の中国人の知り合いは、秋田をぐるりと1週間近くまわる旅をしたとき、旅の間に買ったものは、道の駅で地元のおばあちゃんが作った「編み物の靴下」と「いぶりがっこ」だけでした。
数年前にインバウンドという言葉がはやりはじめた頃は「欧米人は日本文化の体験が好きで、中国人は爆買いをするのが好き」といったイメージをもつ人も多かったかもしれません。しかし、これはインバウンドのターゲットを考える際の「ステレオタイプの落とし穴」とでも言うべき点で、前述のような「爆買い好きのイタリア人」も、「座禅好きの中国人」もいるのです。
逆の立場になってみればイメージしやすいかもしれません。もし、海外のどこかの国で、たとえば(世界的な車メーカーがたくさんあるから)「日本人は車が好き」、(豆腐やお米を食べているから)「日本人はヘルシーフードが好き」というだけで語られたら「そういう人もいるけど、自分は違う、そうでない人もいる」と言いたくなるのではないでしょうか。
海外の旅人を考えるときも同じことです。「○○人はこれが好き」はある程度の傾向でしかなく、実際に訪日外国人が増える中で旅人のタイプは多様化してきているのです。
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