あんないるのに「カラス」の死骸を見ないワケ 日本人が意外と知らないカラスの生態

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逆に、人間がカラスを食べる文化がかつて中国や韓国、日本の田舎などにありました。滋養強壮ですね。フランス料理ではジビエとして健在です。僕も食わされましたよ、カラス肉料理のレシピを作ったバカな教え子がいてね(笑)。多少クセはあるけど食えます。まあジャーキーがいちばんいいかな。

鳥類では例外的に共食いをする

──実は個人的にずっと疑問だったのが、街中にあれだけカラスがいるのに、死骸は一度も見たことがない、ってことでした。

基本的に野生の鳥は弱ると、外敵から身を隠すため、こんもりした森林などへ逃れます。そこで力尽きて、ポロッと枝から落ちて死んでいくケースが多い。

『カラス学のすすめ』(杉田 昭栄 著/緑書房/1800円+税/341ページ)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

ほかにも、死んだカラスの死骸を仲間が食べてしまうことがあります。鳥類では例外的にカラスは共食いをする。数羽のカラスを同じおりに入れておいたとき、ケンカが始まって1羽が負けて死んでしまうことがあった。その後どうするか見ていたら、勝ったカラスと周りにいたカラスで、死んだカラスを残さず食べてしまいました。

──先日公園で目撃したのですが、池を挟んで向こう側のカラスがこちら側にいたネコを目がけて、スレスレに滑空してきたんです。それも何度も。

ネコをもて遊んでいたというか、ちょっかい出して面白がってたんでしょうね。人間と同様、彼らにもそういう部分があるんです。カラスは遊びをする数少ない動物の一種。まあその公園のネコの場合、弱っていたり子ネコだったりしたら、つついて食べちゃってたかもしれません。

──ゴミ集積所の散乱や糞害、騒音、農作物への食害など、人間にとっては厄介な鳥ですが。

人間とカラスはすでに共生していると認識したほうがいい。ゴミ問題に関しては、問題を作っているのは人間のほう。カラスは頭はいいけどクリエーティブではないから、生きるための選択をするしかないわけで。そこは人間サマが知恵を出して、どう共生していくかを考えないといけませんね。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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