「PL脳」から抜けられない日本企業の末路 必要なのは企業価値を最大化する思考だ

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本当に価値ある事業を創出するためにはこれまでのやり方を捨ててファイナンス思考に切り替える必要がある(写真:CORA / PIXTA)
成長を描いて意思決定する「ファイナンス思考」こそ重要だという。『ファイナンス思考』を書いたシニフィアン共同代表の朝倉祐介氏に詳しく聞いた。

──ファイナンス思考によって企業価値の最大化を目指すのですね。

企業経営の目的は突き詰めれば企業価値の最大化のはずだ。目先の業績を優先する「PL(損益計算書)脳」は脇に置いて、持続的な成長をすることこそが狙い。

──PL脳?

ファイナンス思考の対立概念としてPL脳はある。損益計算書上の指標、たとえば売り上げや利益の最大化を経営の目的とする考え方だ。そのPL脳からファイナンス思考に考え方を切り替えていくべきなのだ。

重要なのは利益ではなく、企業価値の最大化

──ファイナンスを専門に手掛けるCFO(最高財務責任者)という存在が社内にいますよね。

ファイナンスという言葉を一面的にとらえてはいけない。包括的な企業価値を最大化するためには四面の立体で考える必要がある。資金調達、資金創出、資産の最適配分、それにステークホルダー・コミュニケーションだ。

まず外部からの資金調達はデットファイナンスやエクイティファイナンスの形をとる。資金創出とは、既存の事業から稼ぎ出す利益のことだ。この稼ぎ出した利益は新しい投資の元手にもなる。

──資金創出においてはPL脳とかぶる部分があります。

PL脳では利益を出すことが重視されるが、より重要なのは、利益の再投資を通じて会社の価値を最大化することだ。PL脳では狭義のファイナンスにおける側面しかとらえず、会社全体が向かうべき方向とずれてしまうことがあるから、注意が必要だ。

──さらに資産を最適配分する役割もあるようですね。

経済活動によってPLにいろいろな資産が載ってくる。ある事業資産は切り出され外部に売却されたり、逆に外から買われてきたりもする。お金の流出入や貸し借りにおいては多様な時期や方法が選択される。自社株買いや配当といったものもある。

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