有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ #ブックス・レビュー

あんないるのに「カラス」の死骸を見ないワケ 日本人が意外と知らないカラスの生態

6分で読める 有料会員限定
2/3 PAGES

米国で面白い実験報告があります。怖い形相のマスクをかぶった人がカラスを捕らえ、恐怖心を与えてから放す。すると以後、怖いマスクの人が歩くとカラスが一斉に甲高く鳴き叫び、羽をばたつかせた。時間が経つほどに反応するカラスは増え、直接その経験をしていない1~2キロメートル離れた別の群れのカラスまでもが反応し始めた。

つまりカラスは自らの直接体験、親から子への情報伝達に加え、ほかの群れとの情報交換という3つの情報源を持つということ。どのように伝えるのかはわかっていませんが、コミュニケーション能力があるということです。

少なくとも1年は覚えている記憶力がある

──つまり社会的な概念がある?

そう。群れの中での優劣、自分の立ち位置やほかの個体とのかかわりを理解する知性があります。自分の群れはもちろん、ほかの群れでの個体の序列、その序列が逆転したことなども観察して理解できる。たまたま同じ電線に止まっていて、「あ、コイツあの群れの弱いヤツだ」ってわかる。証明はされていないけど、一連の観察結果や論法からすると、僕はわかると考えています。ただ、基本的に野生動物は無駄な争いはいっさいしないので、たまたま遭遇した弱いカラスにケンカを売るようなことはしない。

──カラスは数の概念も持つとか。

杉田昭栄(すぎた しょうえい)/1952年生まれ。宇都宮大学農学部卒業、千葉大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士、農学博士。専門は動物形態学、神経解剖学。一般社団法人 鳥獣管理技術協会代表理事。著書はほかに『カラス なぜ遊ぶ』『カラスとかしこく付き合う法』など(撮影:吉濱篤志)

たとえば、2つの容器のふたに違う数の模様を印刷し、模様の数が少ないほうに餌があると学習させる。模様で覚えてしまわないよう、色や形、配置を変えます。2と6、3と5とか数を変えて組み合わせたら、ちゃんと少ないほうの容器を選びました。ただそれは、カラスが1、2、3と勘定できるかどうかとは別で、あくまでも多い、少ないの比較ですね。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数