「生涯学習」がドイツで無理なく根付く理由

コミュニティカレッジが「街力」を強くする

「コミュニティ・カレッジは誰でもアクセスできるよう努めなければいけない」と話すバッセンホルスト校長(筆者撮影)

ありきたりな言い方ではあるが、学ぶことは人生を豊かにする。それまで知らなかったようなことを学ぶことで視野が広がり、世界の見方が変わることもある。一方、社会の変化が激しい時代、個人は学び続ける必要性も高い。職能のスキルアップなどは、現実的な問題であろう。また、教養を高めることは、今日の社会や政治がどういう状態にあるのかを理解する一助となる。

ドイツを見ると、そういう役割を引き受けている教育機関が、1万人程度の人口規模の町にでも見られる。「フォルクスホッホ シューレ(Volkshochschule略称 VHS)」というもので、市民学校、コミュニティ・カレッジなど様々な訳がある。運営は自治体や非営利団体などが行っている。本稿では「コミュニティ・カレッジ」で進めていく。

コミュニティ・カレッジは日本にはないものなのでイメージしづらい。あえていえば市民向けの非営利のカルチャーセンターとか、生涯教育センターといった感じだろうか。また語学のコースが充実しているため、外国人のためのドイツ語講座を行う組織として、ドイツに滞在する日本人向けによく紹介される。さらに地域内の文化施設と強いネットワークをつくっており、そのネットワークそのものが地方都市の文化資本になっているといえるだろう。今回は、生涯学習が持つ広い社会的意味について考えてみよう。

11万人の町に、2800の教育サービス

コミュニティ・カレッジはドイツ全国に約900ある。さまざまな講座やイベント、講演などを行う。「チェーン店」というわけではないので、各地のスタッフが内容を決めている。筆者が住む人口11万人のドイツ中南部のエアランゲン市を例にとると、「職業」「言語」「健康」「文化」「社会」「VHS インターナショナルクラブ」の6項目の教育プログラムが提供されている。通常の授業のようなものから、イベントや講演などすべて含めて約2,800(2016年)あり、のべ約42,000人が参加している。

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