いい図書館を持っている町が生き残れる必然

戦略拠点化できるかがカギに

自治体にとって図書館がどういった機能を果たすようになっているのか(写真は武雄市図書館、撮影:梅谷秀司)

カフェ、商業スペース、書店……。全国各地の公立図書館は、トレンドと国や業界団体が定める方針の間で漂流しながらも、近年、いろいろな企業などとコラボし、多様に生まれ変わり始めている。いろいろ物議を醸している「TSUTAYA図書館」などもこうした図書館の一群だ。

さて、現在全国には3300カ所の図書館があるが、実にその3分の1が補強や建て替えが必要な旧耐震図書館といわれている。各自治体が改めて図書館のあり方を見直す時期に差し掛かっているといえるが、こうした中で必要なのが自治体の「レジリエンス」、すなわち困難な状況で生き残る力を高めるということではないだろうか。そのために、図書館を自治体の戦略拠点化することが望ましい、と公共建築を手掛ける筆者は考えている。

図書館が目指すべきモデルとは

具体的に説明する前に、そもそも自治体による公立図書館の整備が、どのように始まったのか振り返ってみたい。公立図書館は、1950年の図書館法制定に基づき「図書館利用の権利保障は公の責任である」という歴史からスタートしている。

戦後の混乱を経た1970年、日本図書館協会は、①市民の求める図書を自由に気軽に貸し出す、②徹底して児童にサービスする、③全域へサービス網をはりめぐらす――ことを目的に、「無料貸本サービス」の整備を加速。そして1980年代後半から政策官庁が文部科学省へと変わり、当時の公害問題など行政への市民参加の高まりに呼応するように、「生涯学習機能という新たな目的」を図書館が標榜する時代へと突入していった。 

この流れは、自治体の生き残りが問われる現代において、「地域における存在意義を確立すべき」「地域や住民の課題解決を支援する機能を充実すべき」といったさらに突っ込んだ要求へと進化し、図書館が「人づくり・まちづくりの拠点である」という潮流につながっている。

こうした中、多様なコラボ図書館が乱立しているわけだが、その先には図書館が進むべき1つのモデルがあるのではないだろうか。それは、前述のとおり、図書館が、自治体が生き残るうえでの「レジリエンス戦略拠点」になるというものだ。

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