堀潤氏「NHKの強硬姿勢は損、まず改革が先だ」

「NHKは見ない、いらない」で本当にいいのか

堀氏はこの10年を振り返り「NHKではジャーナリズム機関としての改革が行われてこなかった」と指摘する(記者撮影)
今、NHKのあり方に関する議論が再燃している。12月6日、受信料制度について規定した放送法64条1項について、最高裁は「憲法に違反しない」とする判決を下した。当サイトで12月14日に掲載した記事「NHK受信料制度、「合憲」でも山積する課題」には130を超えるコメントが寄せられ、その多くが受信料制度に対してネガティブなものだった。だが、メディア環境が激変しつつある今、NHKにはどういった意義や強みがあるのか、受信料制度はどうあるべきなのか。内外からNHKを見続けてきた元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤氏に聞いた。

――12月6日、受信料制度について規定した放送法64条1項について、最高裁は合憲とする判断をし、さまざまな意見が飛び交っています。この点についてどう考えていますか?

司法のお墨付きを得て「そういう仕組みですから、受信料をいただきます」というアプローチしかできていないのは大問題。公共放送の本来の役目を果たすための改革策はいっぱいある。そういうことをせず、徴収しやすいところから徴収し、できなくなったら裁判でお上の力を借りて徴収するというのは、やはり一足飛びすぎる。情けない。

ただ僕は、受信料制度は絶対にあったほうがいいと思う。税金を投入する国営放送と違って、NHKは個々人がおカネを出す日本最大の市民メディアともいえる。民放のように視聴率や利益と関係ないところで、マイノリティの声も伝え、必要なものは海外にしっかり発信することなどが役割だ。しかし、この10年を振り返り、ジャーナリズム機関として時代にマッチした改革が行われてきたかというと、そうした姿勢はみられなかった。

やはり”お上の放送局”

大切なのは、受信料制度を維持するために、どれくらい市民の要望を聞いてきたのか、啓蒙してきたのかということ。利用者、視聴者の立場で考えると、たとえば会長人事にまったくタッチできない。株式会社なら株主総会で動議をかけて不信任を訴えることもできるが、NHKはせいぜいコールセンタ-に電話して抗議するか、もしくは不払いしかない。どこにも声をぶつけられず、NHKは「ご意見を承りました」という姿勢だ。集金でも「怖いおじさんにどなられた」という不満が上がってくる。やはり“お上の放送局”という性質が強い。

今、こうした形で徴収の姿勢を強めると、「NHKなんていらない」とか「受信料は払いたくない」とネガティブな世論に火が付きやすい。それはすごく損だ。強大な放送権力が一市民を相手に裁判で「とったぞ!」みたいな。そうした状況は好ましくない。

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