いい図書館を持っている町が生き残れる必然

戦略拠点化できるかがカギに

たとえば、図書館で健康に関する選書を充実させ、地域の福祉NPOや医療機関と連携して健康への動機付けを提供すれば、定期検診の受診率アップにつながり、将来の医療費負担を抑制することができる。

また、地元ボランティアと連携した子どもへの本の読み聞かせ活動や、フリースペースを活用してビジネス相談会や法律相談など市民向けサービスを充実させれば、多世代間の交流や信頼が生まれやすい。そして、これが地域の問題を解決する能力につながることも期待できるからである。

「知の殿堂」にふさわしいあり方とは

このように、いわゆる教育という枠を超え、「保険・医療・福祉の増進分野」「社会教育の推進分野」「子どもの健全育成分野」「まちづくり・産業促進分野」などの広い領域において、レジリエンスとして重要となる目的を見定め、必要な活動資源を公共図書館に投入することこそ、未来の図書館の真の価値ではないだろうか。

こうした提案には、「生涯学習を超える活動は公共図書館の業務ではない」「司書はとてもじゃないが対応しきれない」という反論があるかもしれない。しかし、「地方自治=行政の仕事」から、「地方自治=市民との協業」へとシフトせざるをえない未来がすぐそこまで来ているのだ。

全国の自治体において、公共施設の面積削減と維持コストの適正化が急務となっている。こうした中、「知の殿堂」は改めてそのあり方を見つめ直し、市民との協業を育むのに最もふさわしい公共施設として生まれ変わりを図るべきではないだろうか。

関連官庁や自治体には、図書館は町のレジリエンスの戦略拠点になりうるという視座を共有してもらい、市民を育てるために蔵書を選定し、市民とともに図書館を育ててもらいたい。

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