東洋経済新報社が全国の都市を対象に毎年公表している「住みよさランキング」。最新となる2018年のランキング結果がまとまった。このうち上位50都市を紹介する(各都市のランキングの詳細については、『都市データパック2018年版』を参照)。
「住みよさランキング」は、公的統計を基に、それぞれの市区が持つ“都市力”を、「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」の5つのカテゴリーに分類し、ランク付けしたもの。ランキングの算出には16の統計指標を用いている。指標ごとに、平均値を50とする偏差値を算出、それらの平均値から5カテゴリーの部門評価および総合評価を算出している。なお、5つのカテゴリーと採用16指標の詳細については、文末をご参照いただきたい。
対象は、2018年6月18日現在の814都市(全国791市と東京23区)で、全都市を対象としたランキングは25回目となる(2011年は、東日本大震災により非公表)。なお、トップ50都市のランキング表は3ページ目以降に掲載している。
印西市(千葉)が7年連続トップ
今年の「住みよさランキング」総合評価1位は千葉県印西市、2位が愛知県長久手市、3位が宮城県名取市となった。2012年のランキングで1位となった印西市は、今回で7年連続の1位だ。
印西市は千葉県の北西部、東京都心から約40kmの位置にあり、3市にまたがる千葉ニュータウンの面積の過半を占める住宅都市。市内には多数の大型商業施設が進出し、また大学や企業の研究開発拠点、金融機関のデータセンターなども集積している。東京と成田国際空港を結ぶ交通軸上にあり、2010年の京成成田空港線(成田スカイアクセス)の開業により、成田空港はもとより、東京都心や羽田空港へのアクセスも良好である。東京区部への通勤率は20%を超え、また、成田空港近辺へ通勤する人々も多く暮らす。
以前より、「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」の4部門で高い評価となっていたが、新たに「安心度」の指標とした「年少人口(0~14歳)増減率」が全国10位・増加率8.2%と高く、トップの座をより強固にする結果となった。
「年少人口(0~14歳)増減率」のほか、「転入・転出人口比率」も全国で10位以内(転入超過29.3%)の高い値となっているのに対して「15~49歳女性人口当たり出生数」は全国平均並みと、飛び抜けて高いわけではないことから、子どもを持つ若い世代が、印西市を「育てるまち」として選んでいることが推測される。
一般に、若い世代の流入が進むと、住宅の広さや持ち家比率といった住宅事情が悪化するが、印西市は「住居水準充実度」199位と高水準。社会インフラが整備され、都心部まで通勤可能な位置にありながら、広い持ち家を持つことができる環境を求めて若い世代が集まり、民間商業施設も充実してくる。その快適さや利便性が、さらに人を呼び込んでいる様子をランキングの順位からうかがうことができる。人口増に対して、良好な住環境や快適さ、利便性をいかに維持するかが今後の課題となるだろう。
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