あのLDHがカンヌで語った「世界戦略」の全容 メインステージのプレゼン全文を掲載

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本田:なるほど。VERBALさん、キャンペーンについて何かコメントありますか?

VERBAL:Beatsは、LDHがグローバルブランドとのコラボを始めた頃の事例ですね。面白いのは、日本は本質的にユニークだということです。たとえば、欧米でリル・ウェインとビーツがコラボしてキャンペーンをしたとすると、日本でもラッパーとコラボしてキャンペーンするのがよいと思うでしょう? でもそれだと、日本では同じ成果は得られないんです。

まず、マーケットが違います。日本のヒップホップ・マーケットはアメリカほど大きくないですし……同じような影響力はありません。ルークはHIROさんと、テーマをどう日本で伝えるか議論していました。僕たちが伝えたいのは、全体的なフィロソフィーなんです。そこでHIROさんとルークは気が合ったんだと思います。だから、E-girlsがこのキャンペーンに選ばれて、成功したんだと思います。

どんなものでも成功に導ける

本田:ルークさん、もうひとつ質問です。おそらく、ここにいらっしゃる皆さんは、もう少し一般的なことに関しての考え方も知りたいんじゃないかと。コンテンツパートナーシップやブランドパートナーシップに関して、Beatsという会社の代表としてどうお考えですか?

Luke Wood:創立以来、もう10年いますけれど、Beatsは音楽ビジネスからスタートしました。ジミー・アイオビーンとドクター・ドレーによって設立され、僕も当初から一緒です。僕自身もミュージシャンなので、スタジオに行って、気の合うプロデューサーやタレントと仕事している感じですね。

だから、まず、気が合うかどうかですね。で、LDHと気が合ったというわけです。LDHには、どんなものでも成功に導けるという2つの基本的な要素があります。まず、LDHは、パフォーマー自身が自分の人生を送る権利を持つと理解しています。いつ辞めてしまうかは誰にもわからないけれど、決して焦りません。ゆっくりと、アーティストの真の力量とすばらしい能力を磨き上げる手助けをするのです。

早急に進めたいという人たちも中にはいますが、LDHは、じっくりと育成することに集中するのです。とてもこだわった教育です。エンターテインメントのためだけの人材育成というよりは、教育というほうが当たっているでしょうね。これが、私が見たLDHの考え方ですね。

次に必要なのは、明確なビジョンを持った人です。とても優れた実行力と洞察力をもった人がいて初めて事が成就するのです。それがHIROさんです。僕にとってHIROさんは、ディズニーのボブ・アイガー、ウィリー・ウォンカ、フレッド・アステア、アンディーウォーホールを足して割った感じ。クリエイティブマインドとビジネスマインドを兼ね備えています。

その核となるのは、善悪をわきまえた人格です。実際にHIROさんに会うと、わかると思いますが、彼は世界でいちばんすばらしい人ですよ。「善いことをするんだ」という強い倫理基準が備わっています。それは、すべてのプロダクトに表れますよね。音楽にも、会社の人たちにもすべてに表れているんです。

本田:VERBAL、何てすてきなコメントなんでしょうね(笑)。

VERBAL:すばらしいですね。ところでさっきは、僕が太陽だなんて言ってくれてありがとう。そんなこと言われたのは、初めてです。いつかどこかで、使わせてもらいます(笑)。

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