あのLDHがカンヌで語った「世界戦略」の全容 メインステージのプレゼン全文を掲載

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本田:一方で、スパイラル・モデルは、トップダウンとボトムアップの融合形式です。顧客からのフィードバックとテストを、スピード感をもって何度も繰り返すことでより良いものを創造することができるわけです。このモデルは、スタートアップ企業やNASAのような機関に好まれます。ちょっと長くなりましたが、LDHの話に戻りましょう。私には、LDHが実践しているのはスパイラル・モデルだと思うのですね。こちらの動画をご覧ください。

LDH SPIRAL MODEL(映像:LDH)

日本中を熱狂させ、感動を生み続けるLDHのライブ・エンターテインメント。その秘密は、2つの組織からなる独自のスパイラル・モデルにあります。

1つめは、クリエイティブ・プロデュースを担当するチームです。テーマ、ストーリー、ステージデザイン、演出プラン、音楽、映像、衣装、など、それぞれの領域のプロフェッショナルたちが、今までのライブで得たさまざまな経験と豊富な知識をもとにすべてを作り上げていきます。

ライブからのフィードバックを元につねに改善し1公演ごとに進化させ続けます。アーティストを輝かせ、観客に楽しんでもらうために、エンターテインメント体験のクオリティを追求し続ける。これがCREATIVE PRODUCEのスパイラル・モデルです。

2つめは、アーティスト・ディベロップメントを担当する組織です。日本全国に12校・NY・台北にスクールを展開。生徒たちは、子どものときからトップ・アーティストの5万人の観客がいるLDHのライブに出演し、その経験からのフィードバックを元に生徒をアーティストへと育てていきます。これが、アーティスト・ディベロップメントのスパイラル・モデルです。

「クリエイティブ・プロデュース」と「アーティスト・ディベロップメント」が、ライブという共通の場を通じて連携しスパイラルを加速させます。LDHならではの壮大なスケールのライブ・エンターテインメントを創造するとともに、アーティストと子どもたちの夢を叶える仕組み、それがスパイラル・モデルです。このスパイラルが、LDHの推進力になっています。

ポジティブなスパイラルであることが重要

本田:VERBALさん、このスパイラルモデルが、LDHの大成功のカギでしょうか。

VERBAL:ニックはどう思う? それだけではないけれど……もちろん僕自身はそう思っていますけどね。

Afrojack:確かなのは、スパイラル・モデルは非常に重要だということ。そう、みんながこの仕組みを理解しておくべきなのは、スパイラル・モデルは、ビジネスモデルとして有効だし、プロダクトにも有効な手段なんです。一方で、これはシンプルに人間の成長モデルでもあるんです。学校に行って、自分の態度についてフィードバックをもらうように、スパイラルは人間形成の一部みたいなものだから、ビジネスにも当てはまります。

重要なことは、ポジティブなスパイラルであるということです。それがLDHがやっていることです。才能があり、きちんとした情熱を持ち、潜在能力があって、優しい心を持った人を見つける。そして、スパイラル・モデルで人々を教育していく。外に送り出し、フィードバックをもらう。その過程で、より良く成長していく。

この非常にシンプルな仕組みは、単にアーティスト育成のためだけでなく、プロダクト開発などあらゆるものに適している。Beatsもヘッドフォンについて何か意見を言われても、「どこも変えるつもりはないよ」ということはないですよね(笑)。

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