あのLDHがカンヌで語った「世界戦略」の全容 メインステージのプレゼン全文を掲載

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本田:そうですね。ルークさんはどう思いますか?

Luke Wood:アーティストとしての自分自身の経験から会社のあるべき姿に導くという、HIROさんの能力が際立っていると思いますね。LDHは信じられないくらい親身になってくれるけど、HIROさんがそうだからだと思います。

彼は会社を自分が成長してきた延長線上にあるものととらえています。最も興味深かったのは、最初にLDHを訪問したときに見た、彼らが出版している雑誌です。その中には、LDHがどうグッズ展開しているか書かれていたんだけど、僕たちが知っているいわゆるグッズ販売ではなかった。

彼らはグッズをファッションに昇華させていたんです。単にTシャツにブランド名を印刷して売ろうとするのではなく、独自のカルチャーをどう伝えていくかという考え方でした。新しいプロダクトを創造する情熱的なエネルギーは、HIROさんの考えていたことからきていると思います。僕がアーティストだったときは、何かやりたかったら、場所とみんなの意見が必要だった。そして、どうやってほかの人に権限を与えるかも考えなければならなかった。

だから、「こんな音のアルバムを作ろう」って押し付ける、トップダウンの会社の指示に従うしかない。HIROさんは、そのアーティストの才能から湧き出てきた音から、創造活動を定義づけしていくんです。

Afrojack:そして、一緒に仕事をしている人たちの言うことにちゃんと耳を傾ける。多くの上司は、「私は上司だから、君が何とかやるんだ」と指示を与えるだけです。でも、HIROさんは、心から共感してくれる。全部聞いてくれて考えてくれる。彼のそんな態度が、LDH成功の大きなカギだと思いますね。

VERBAL:HIROさんはクリエイティブな人だから言うまでもないですけど、スタッフはいつも彼のアイデアを形にできるよう本気で向かい合わなければなりません。彼みたいな人が、何もかもうまくいくように、アーティストやスタッフの身近にいてくれることは、間違いなくよいことです。彼は、アーティストの気持ちに、本当に気を配っています。

感情はとても重要なんです。スタジオに入ると誰もが感情的になりますからね。誰だって、シンガーが嫌な気分のままスタジオ入りしてもらいたくないですよね。HIROさんは、みんなが楽しく、高いモチベーションで臨めるようにしてくれます。

Afrojack:もう1つ思い出したんだけど、僕が初めて日本に行って、HIROさんに会ったとき、彼はすごく責任感が強い人だと感じました。だから、彼のもとで働くみんなもすごく責任感が強いんです。「あ、間違っちゃたんだ」「彼が言えって言うから……」みたいではなく、みんな、自分の責任だという思いがある。とても考えさせられたね。特に欧米社会では、人のあらを探すのに必死みたいなところがあるからね(笑)。

必ずしも効率的とは言えないが…

本田:スパイラル・モデルのようなアプローチは、いろいろな過程を踏まなければいけないので「非効率的だ」という意見もありますよね。どう思いますか?

VERBAL:良くも悪くも、確かに効率的ではないです。たとえば、人の夢を叶えるために、いつもメンターとしてそばにいるということは、効率的にやりたいからでは決してない。魔法を起こしたいからです。

そのためには、ものすごいエネルギーと時間が必要です。ある意味、賭けのようなものですからね。でもLDHでは、みんながやりたいことができるように時間とエネルギーを投資することは、必要なことだと考えています。LDHは、ユニークな特性をもったアーティストをずっと育成します。現在、100人のアーティストが所属しています。

その全員が、自分たちの技に磨きをかけることができる環境です。確かに、必ずしも効率的とは言えないけれど、このやり方はうまくいっていますね。

Afrojack:そう、実にシンプルな選択だと思います。効率性を最大限にすべく追求することは、短期の経済的利益をもたらす。努力とプロダクトの質を最大限にすることは、長期的な利益につながる。今のLDHがそれを証明しているよ。

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