「あまり話さない夫」を変えた妻の意外な提案 四半期に一度、都内のホテルでガッツリと

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「平日は息子の様子を話すくらいにとどめて、ちょっとややこしいなとか、時間が必要だなという話は、『今度のセッションで話そう』と、次の会議に回すんです(笑)。それがあるおかげで『あの話、いつするのよ!』ってことにもなりません。ちゃんと話せる時間があるというのは安心感に繋がりますね」(真奈さん)

「話したいことが、どんどん溜まってくるから、四半期に1回じゃ足りなくなってきているよね(笑)」(力さん)

ライフプランは変わっても構わない

最近のクォーター・セッションでは、数年後の未来について話し合うことが増えたという。

年齢と夢や目標を表にすることで方向性がハッキリする。(編集部撮影)

・仕事でどんなことをやっていきたいか

・今後2人の故郷である関西に移住することはあるか

・2人目の子どもをいつどんなタイミングで計画するか

・家族でやりたいことは何か

今年初めてのセッションでは、家族それぞれの年齢を書き加えたライフプラン表を作成した。

「たとえば、僕にはいつか故郷の関西に帰れたらいいなという漠然とした思いはあるけれど、それはいつのタイミングなら現実的なのか、とか。息子が小学校に上がるタイミングにするならそれまでに東京以外でも仕事ができる基盤を作らなきゃいけない。小学校に上がる前に家族で世界一周旅行もしたいね、とか(笑)。これはもちろん、夢というか希望というか仮のものですが……。将来のことを一緒にこうやって考えられる相手がいるというのは、とてもありがたいことだな、と思います。頼れる相手がいるというか。会議を続けていくことで、パートナーになれたな、と感じることは増えましたね」(力さん)

「ライフプラン表を作っても、次の会議の時には全然進んでなかったり、予定が変わっていたりすることもあるんですよ(笑)。でも確かめることさえできたら、変わってもいいんだと思っています。きちんと自分たちのいきたい方向を確かめることさえできたら」(真奈さん)

真奈さんと1歳になる玄くん(編集部撮影)

子どもが大きくなったら、もっと頻繁に家族で話し合う時間を持ちたい、という2人。自分たちが、どう生きたいか、どう暮らしていきたいか、たとえ夢のような話でも、家族で定期的に話し合っていくことで、松尾家の絆はきっと深まっていく。

今の自分たちにとって快適な暮らしや仕事と、これから先の自分たちの居場所。その両方をこの夫婦はこれからも楽しそうに探っていくのだろうな、と思った。

本連載「家族会議のすすめ」では、実際に家族会議を行っている方からの情報・質問・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらにフォームにご記入ください。
玉居子 泰子 編集者、ライター

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たまいこ やすこ / Yasuko Tamaiko

1979年生まれ。東京外国語大学卒業後早川書房に入社。主に翻訳書籍の編集を行う。 2005年にベトナムに移住すると同時にフリーランスに。編集・翻訳・ライター業のほか企業通訳を務める。2007年帰国後もフリーで活動を続ける。テーマは、育児・教育、妊娠・出産、育児の悩み、家族のコミュニケーションなど。主な寄稿先は『AERA』、『東京人』、『クーヨン』、『FRaU』、日経DUAL、JBpress、soar-worldなど。過去の仕事一覧はこちら
 

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