東京ドームではビールメーカー4社(サントリー・アサヒ・キリン・サッポロ)が参入し、ビールなど飲料の販売を競っている。
東京ドーム側は、4社の売り子の数を同一にし、イーブンな条件で販売競争ができるようにしている。
そういう競争環境で、売り子と言う”花形プレイヤー”が日々売り上げを競っているのだ。
売り子たちを仕切っているのが場内チェッカーと呼ばれる裏方だ。
場内チェッカーは、出勤してくる売り子を、体調や勤務態度などでビール、チューハイ、角ハイと各飲料に振り分けていく。通常、新人はハイボールやウィスキーで経験を積んで、結果を出せばビールに回していく。
また基地で売り子のタンクの詰め替えをする基地チェッカーもいる。
ビールと他の飲料では売り方が異なる
「ビールは最初が勝負です。お客様が入場された瞬間から、勝負は始まっています。こちらから手を上げて、ビールが飲みたそうなお客様を見つけては、すかさず売っていきます。
ハイボールは、前に氷を積んでいるのでビールより重いです。それに、ほとんどのお客様はまずはビールを飲まれますから、しばらくは売れません。
その間、本当につらいですが、ひたすら動き回って自分の顔を売るんです。ここにいますよ、とアピールします。
一方でビールは途中で売れなくなります。でも、そこから差が出るんです。
売れなくても笑顔で客席をまわって顔を売って、コミュニケーションをとることが、その後の売り上げにつながっていきます」(高尾さん)
2年目の湯本さんも、「ビールを飲みたいお客様は、きょろきょろと売り子を見ています。それを見つけて、誰よりも私と目が合うように見つめるんです。目が合ったら遠くてもそこまで行きます」と話す。
ビールの販売競争で重要なのは、他のメーカーのブランドを飲んでいる人に、2杯目、3杯目に自社のビールを飲んでもらうことだ。サントリーでいえば、他社のビールを飲んでいるお客さんに、ザ・プレミアム・モルツを飲んでもらう必要がある。
「他社のビールを飲んでいるお客様にビールがなくなりそうなタイミングで、ザ・プレミアム・モルツいかがですか?と勧めます。お客様の表情を見定めないとクレームになりますから注意が必要ですが、いけそうだな、と思ったら思い切ってお勧めします。”じゃ、もらおうか”と言ってもらったらすごくうれしいですね」(高尾さん)
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