サントリーさんのご厚意で、売り子の女性にも話を聞くことができた。
4年目の高尾さんは、三塁側内野席を担当。大学を卒業し、事務所に所属し芸能活動もしながら売り子をしている。
「岡山出身です。大学2年から売り子のバイトをしています。野球は興味なかったのですが、お父さんに野球を見に連れて行ってもらって、売り子はかっこいいと思いました。
この仕事のいいところは、自分が頑張った分だけ形にあらわれることですね。売った杯数がはっきり出ます。年間表彰などもあるので、励みになります。顧客さん(常連客)とコミュニケーションをとるのが楽しいですね」
海津さんは一塁のバックネット裏担当。大学在学中で売り子2年目だ。
「新潟から上京して、この仕事を知りました。それまで東京ドームは行ったことも見たこともありませんでした。
でも大学の近くだったので、応募しました。売り子ってなんだかキラキラした仕事だなぁ、と思いました。
新潟では新体操をしていました。売り子とは全然違いますが、華やかな裏で、すごいつらい部分がある点は似ていると思います」
湯本さんは右翼の外野席担当。短大2年生で彼女も2年目だ。
「実家は埼玉ですが、学校が渋谷にあって通勤もしやすかったので、このアルバイトを選びました。売り子の仕事は、結果が数字で見えるのがいいですね」
重いタンクを背負って彼女たちは大丈夫?
筆者たち取材陣は、通用口から通路を通ってバックヤードに案内されたが、東京ドームの外周を半分以上歩いた。かなりの距離だった。
彼女たちは、10リットルのビールが入った重いタンクを背負ってバックヤードと持ち場の観客席を何往復もするのだ。大丈夫なのだろうか?
「最初は、持ち場に行くまでに疲れていました。次の日は、足腰が本当に動かなくなりました。やばかったです。もちろん、ふくらはぎは成長します(笑)。(野球の試合が)6連戦になると、4年目でも足が太くなる気がします」(高尾さん)
ビールの売り子出身のタレントが話題になってから、売り出すきっかけにしたいと芸能事務所から自社タレントの売り込みもあるという。
しかし、そういう女性は、ほとんどが続かない。
また、一般採用の女性でも、1日で辞めてしまう人がいる。体力的にも、精神的にも生半可な気持ちでは務まらないのだ。
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