10分足らずで、売り子の1人が戻ってきた。彼女は後ろ向きになり、タンクをステンレス台に載せた。基地チェッカーがタンクのカバーを開けて新しいタンクと詰め替える。この間に、場内チェッカーが売り子にドリンクを渡す。
ドリンクを口にする売り子に「今、何分ペースだよ(同じポジションのライバル会社の)○○ちゃんは何分前に帰ったよ」などと細かく情報を入れる。
わずか十数秒で詰め替えを終えた売り子たちは、また長い通路を歩いて売り場へと戻っていく。F1のピットもかくや、と思わせる慌ただしさだ。
基地の壁面には大型のモニターが設置されている。
ここには4社のビールや他の飲料の販売数量が刻々と掲示される。売り子たちの販売情報が、手元の端末を通してオンタイムで伝えられるのだ。
裏側で展開されるもう1つの”ペナントレース”
ビールは「出陣」と同時に100杯単位で数字が伸びていく。
そんな中を次々と売り子たちがカラになったタンクを背負って基地に帰ってきて、あっという間に満タンのタンクを背負って戻っていく。
彼女たちの額には汗が光っている。
「サントリーでは、ビールメーカー単位の販売競争とともに、売り子の販売数も競っています。東京ドームの巨人戦、そしてソフトバンクなど他の球団の主催試合の数字もトータルで、年間の杯数を競います。年間販売数の上位は表彰をして、特別賞を出しています」と、小澤専任部長は語った。
プロ野球選手たちが華々しく活躍するスタジアムのスタンドでは、もう1つの”ペナントレース”が繰り広げられているのだ。
サントリーの売り子たち
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個別にお話を聞いた3人
(筆者撮影)
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大きな全身鏡で各々が身だしなみを整えていた
(筆者撮影)
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標準的なビールの売り子のユニフォーム
(筆者撮影)
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髪飾りは人それぞれ違うので目印になる
(筆者撮影)
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ユニフォームはサントリーが制作している
(筆者撮影)
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タンクには10リットル入る
(筆者撮影)
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水分補給も忘れない
(筆者撮影)
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補充も素早く行う
(筆者撮影)
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入れ替わり立ち替わり交換に訪れる
(筆者撮影)
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このタンクが10分で交換になることも多いという
(筆者撮影)
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ショルダーにタンクを入れる。重さは15kg以上に
(筆者撮影)
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スーパーチューハイの売り子たちも笑顔
(筆者撮影)
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スーパーチューハイの売り子のユニフォーム
(筆者撮影)
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角ハイボールは専用のケースがある
(筆者撮影)
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山崎12年ハイボールやジムビームハイボールも
(筆者撮影)
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バックヤードの貯蔵庫には大量のビールがあった
(筆者撮影)
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夏になると屋内型球場でも一層ビールが飲みたくなる
(筆者撮影)
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ひろお こう / Kou Hiroo
1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。
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