「よそ者」「わか者」「ばか者」が町を再生する ”異分子”たちから始まる、すごい「チーム」

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よそ者である若い子たちは、しがらみや利害関係などがないから本音も話やすい。そうして、しだいに大事な存在になるようだ。

実は、ヤフーの「復興デパートメント」のスタートにおいても、彼ら彼女らが一役も二役も買ってくれた。

当初、地元の人からすれば、僕らは見ず知らずの東京人だったから、東北の生産者さんに「ネットでモノ売りませんか?」と急に声をかけても、おそらく受け入れてもらえなかっただろう。

そんな部外者と地元の人々の間を取り持ってくれたのが、泥かきなど地元のために一生懸命汗をかき、信頼を得ていた彼らだ。

「○○ちゃんが言うなら、やってみようか」と、僕らの提案を受け入れてくれたのだ。

これもまさに、彼らと地元の人々の間で「よいチーム」ができていたからこそだろう。立ち上がっただけでなく、今も復興デパートメントの売り上げが伸びてきていることが、それを証明していると思う。

コツコツと人間関係を築き、夢の実現に巻き込む

今年3月11日にオープンした「はまぐり堂」という僕も大好きなカフェがある。限界集落とも言える蛤浜という小さな浜に、高校教師だった亀山さんという男性が仲間と一緒に開いたおしゃれな店だ。

「はまぐり堂」を運営する超個性的なメンバー。ここにも「よそもの」力が

今、彼はそこで、飲食店経験もある「ひろにい」、重機の操縦や楽器作りなど何でもできる種子島出身の「だるちゃん」、ものすんごくおいしいパンを作れる神戸の「きょんちゃん」という3人の超個性的なメンバーとその仲間たちと共にカフェを営んでいる。

これこそ地元の人が中心のプロジェクトに、風変わりなよそ者が加わり、よい科学反応を起こした「よいチーム」の好事例だ。

「お互い年をとって引退したら、この家を海の見えるカフェにでもしたいね」

そもそもは、亀山さんと奥さんとのそんなすてきな夢からスタートした。

あの地震の日、臨月の奥さんは実家に戻っていて、波に襲われて亡くなってしまった。奥さんと生まれてくるはずのわが子を失った彼は、とにかく生徒たちを何とかしようと、しばらく家に戻らずに学校のことに注力していた。

1年後、浜に戻ると、壊滅した浜の集落でお年寄りが沢から水を汲みながら懸命に生活していた。その様子を見て、彼は自分の好きな浜を復活させ、そこで奥さんとのカフェの夢を実現させようと決めたそうだ。

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