日本人の魚離れを逆手にとる
――新たにやってみたい企画はありますか。
日本人の魚離れが気になっているので、メニュー提案は積極的にやっていきたいですね。魚の旬や食べ方がわからない人が増えているならば、逆にそこをクリアできれば、サンヨネにとって強みになると思います。まずはパートナー(従業員)の教育から。魚料理をパートナーが覚えて、売り場作りにも反映できれば一石二鳥です。
サンヨネは対面販売が基本なので、レシピを紙で渡すだけでなく、実演しながら売るのが理想です。先日やったメカジキの照り焼きは好評でしたよ。「魚の食べ方がわからないからサンヨネに行こう」という流れを作りたいです。
仕事が休みの日でよければ、学校や料理教室にも喜んで教えに行きますよ。今、イワシなどの小魚の調理に対応し切れていません。うろこを引いて頭とお腹は出しますが、3枚おろしなどをやっていると、ほかのお客さんへの商品提供が間に合わなくなってしまいます。会社からは「これからの時代は小魚の調理もやっていくべきだ」と指示されていますが、手をかけない分だけお値打ち価格で出せている面もあるので、いつでも対応するのは難しいのです。お待たせしてお客さんを怒らせちゃうのが、いちばんいけないことだし……。
お客さんに魚のおいしい食べ方を覚えてもらえれば、サンヨネにとってもお客さんにもメリットがあると思います。おろし方をちょっと変えるだけで、骨がキレイに取れてめちゃくちゃうまくなる魚もあるんですよ。
――服部さんはまだ29歳ですよね。ご実家の魚屋さんは廃業したとのことですが、独立もしくは店長を目指すといったキャリアは考えますか。
野心がないわけじゃないので、「どうしてもコレがやりたい」というものがあれば、独立するかもしれません。でも、個人の魚屋はどんどん減っている時代ですから、今までやってきたことを今以上に生かせる場所は少ないと思います。サンヨネでの仕事は楽しいし、やるべきことはたくさんあります。世の中もどんどん変わっていくので。
副店長や店長を目指すつもりはありません。僕は魚のことしかわからないので、魚を取ってしまったら何も残らない人間です。なんならリーダーを降りて、ひとりのパートナーとして魚をおろしますよ。そのほうが本来の自分に向いていると思うし、お客さんと魚の話をしているのがいちばん楽しいですから。
魚しか取り柄がない僕を雇ってくれて、信用して大きな仕事を任せてくれているサンヨネへの愛社精神は、それなりに強いですよ。鮮魚部をよくしていく自分なりのビジョンもあります。サンヨネの評判を右肩上がりによくしていきたいと思っています。
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