漁師という生き方 会社とも家族とも違う、船の上での生活

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NHKスペシャル「世界初撮影!深海の超巨大イカ」の放映以来、全国的な深海ブームらしい。太陽光が届かない暗黒の世界でどんな生き物がうごめいているのか。確かにちょっとワクワクする。でも、僕は観るだけではなく食べてみたい。

僕が住む愛知県蒲郡市では、メヒカリという小魚が特産品となっている。体は15センチぐらいにしかならないのに、カラフルな目だけは大きくて異様に光る。深海魚らしさ満点の魚だ。骨が柔らかくて唐揚げで食べるとやたらにうまい。

この深海魚を捕っている若い漁師さんに会いたいと思った。さっそく漁協に連絡すると、精漁丸という船を紹介してくれた。30代中心の若いメンバーで構成されている船らしい。運よく7月8月は休漁の時期。たいてい陸にいて船や道具の整備をしているという。

造船所まで出かけると、想像よりも大きな船が陸に上がっていた。精漁丸だ。船長の息子であり、機関長を務めている加藤寿弥さん(34歳)に話を聞いた。

船の整備を手伝ってくれた仲間たちと。EXILE風にポーズを決めてもらいました

――意外なほど若いので驚きました。漁師になって何年目ですか?

19歳のときに漁師になったから15年目だね。気がついたら船で2番目の古株になっちゃった。

4日で退職!

――18歳ではなく19歳ですか。水産高校を卒業してすぐに漁師になったわけではないのですね。

うん。漁師になるのは母親に反対された。危ないし、楽な仕事じゃないってね。だから、普通の会社に入った。でも、すぐに「違うな」と感じて4日で辞めたよ。研修のときに上司同士が僕たち新人の前でケンカしているのを見て、「楽しそうな職場じゃないな」と思った。

地元に帰って来て、ガソリンスタンドとかで働きながら「漁師をやってみたいな」と思った。でも、実際にやってみたら本当にエラかった(つらかった)もんね。自分から「やりたい」と言ったので1年だけ頑張って辞めようと思っていた。気づいたら15年経っていたよ(笑)。

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