漁師という生き方 会社とも家族とも違う、船の上での生活

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若い人を育てるのは難しい……

若い人間を育てるのは難しいね。僕の後に入った人も10人以上は辞めた。新人が辞めるとショックだね。また新しい人をゼロから教えなくちゃいけないから。でも、怒るときは怒らなくちゃいけない。船の上で中途半端なことをしているとケガすることになるからね。ケガしてからじゃ遅い。僕が若いときは「お前、何やっとるだ!」と、モノが飛んでくることもあった。僕は手は出さないけれど、口はキツイよ。

――どんなときに仕事の面白さを感じますか。

いや、今でも「早く1日終わらんかな」と思いながら仕事してるよ(笑)。海は好きだし釣りも好きだけど、仕事は好きじゃない。

だけど今は気の合う仲間とバカを言い合いながら仕事しているからね。手さえ動いていれば(会話は)ふざけていてもいい。船長さんも理解してくれているよ。

仲間といる時間は家族よりも長い。船の上では一緒に寝ているしね。歳が違っても敬語も使わないよ。僕も「ひさくん」と呼ばれている。ほかの職業の人とは休みの時間が合わないから、陸でも船の仲間で遊ぶことが多いね。バイクに乗ったり、釣りをしたり、パチンコに行ったり……。みんなで遊んでリセットすることが大事。遊ばずにおカネだけ貯めている人は病んでいっちゃうよ。

見よ、このぶっとい腕を! 「道具でも何でも重いので、みんな腕が太くなっちゃうね」
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