――高校はどうして辞めたんですか。
辞めた理由はシークレットです(笑)。まあ、辞めろと言われたから辞めたんですよ。僕は勢いだけで生きているような人間なので、昔はゴタゴタがよくありました。17歳なのに魚市場で「これはオレの魚だ!」と主張して周囲ともめたり、ね。
サンヨネに入って蒲郡店の主任になってからも、店長によくかみついていました。僕は鮮魚部のみんながストレスなく働いて、魚をたくさん売ることしか考えていなかったので、会議で何か指示されても「やりたくない」「時間がないすよ」と平気で反抗していました。店長には随分しかられましたね。優しそうだけど怒ると怖い人なんですよ。ハートの部分がなっていないとすごく怒る。ほかの人の士気が下がるような発言をしていた僕は、「みんなに対して失礼だろ!」と何度もしかられました。僕は育ちが悪いんでね。いろいろ迷惑をかけましたよ。今ではかなり丸くなったと思います。店長のおかげです。
鮮魚部80人、どうまとめる??
――リーダーの役割や業務はどんなものですか。
売り込まれた商品に対しては、フィルターの役割をしています。実際に買うかどうかは各店の現場主任次第ですが、「この商品ならば全店に紹介していい」「これはダメ」という判断をしています。
新規の商品を全店に導入するときに、現場の声を反映させながら原価交渉や売り方、物流ラインなどを決めていくのも僕の役目です。最近、本穴子(マアナゴ)の蒲焼を全店に入れました。普通の蒲焼はイラコアナゴを使っていますが、本穴子のほうが格段においしいですよ。ただし、値段も高くなります。各店の主任を集めて食べてみて、「いくらなら売れる自信ある?」「週に何回の入荷がやりやすい?」と細かく聞いて、統一売価を決めました。
――服部さんは蒲郡店の主任も兼ねていますが、主任の中でもいちばん年下ですよね。
はい。僕は主任になってからずっと年下です。年上の人に対しては最初は気を遣います。そうしないと失礼に当たりますから。僕の仕事を見てもらいながら、だんだん打ち解けてくれば、年齢差はあまり関係なくなりますよ。鮮魚部の80人とは慣れたと自分では思っています。
もちろん、リーダーとして足りないことはたくさんあります。たとえば、おカネや商品の流れ。いまだにきっちり把握できないことがあり、本部の人や配送センターの人に迷惑をかけています。作業の組み方や見栄えのいい売り方などを、全店でレベルアップする統率力も足りません。だから、あえて希望して蒲郡店の主任もやらせてもらっています。「オレはこの売価でこう工夫したら、これだけの数量が出たよ」と事例を示さないと、ほかの人たちを説得できないからです。
新商品や仕入れルートの開発も、すさまじい情熱と知識で突き進んでいる営業本部長に負けています。部門を任されている僕としては、もっと頑張らないといけません。
人の育成もまだまだです。鮮魚部は年に1回しかさばけないような季節の魚も扱うので、なんとか一人前になるのに3年はかかります。
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