データサイエンティストは自己陶酔にすぎない リクルート「スーモ」、1000万人のデータ分析の裏側

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――数式よりも重要なことがあるわけですね。

正直言って、データ分析で出た数値の間違いは、大した問題ではないのです。数値により、意思決定が変わってしまうことこそが、最も大きな問題。それが変わらなければ、数値の精度は70~80%でも構わない。それよりもスピードが重要。

リクルートでは、SPDS〔スピーディー(Speedy)に、PDS=計画(Plan)→実行(Do)→統制(See)を回すこと〕という表現をよく使いますが、70〜80%のレベルで、いかに早くPDSを回せるかのほうが大切です。意思決定のためにデータ分析をしているのだから、その意思決定をより早く、より多くできる状態をつくるのが、いちばんのミッションになるわけです。

これは、大学のような研究機関とはカルチャーがまったく違うところです。研究では数字がひとつでもずれていれば、間違いなく先生に怒られますよね。最近では、修士博士課程を卒業したデータサイエンティストが現場に出てきていますが、こうしたカルチャーの差を超えられるかが課題でしょう。ビジネスの現場では、データサイエンティストが本来の仕事の範疇を広げていかないと仕事にならない。アウトです。

リクルートではそうした面は特に顕著。個人の結果重視で、“人のサポート”は評価の対象になりません。“信頼残高”なんて言われていますが、「あのときあいつに助けてもらったから今度は俺がやってやるか」と、他人のサポートが人情レベルの貸し借りの関係になっているのです。こうなると、データ片手に上から目線で指示しているだけではダメです。誰も話を聞いてくれません。それこそ飲み会にバンバン参加して主体的に社内人脈を作っていかないと、仕事にならないですから。

データ分析にも必要な“アート脳”

――ところで、吉永さんはドキュメンタリー映画のクリエーターだったと聞きました。

そうなのです。ずっと映画を撮っていたかったのですが、仕事がなかったもので。大学時代に統計を扱っていたこともあって、今の仕事に行き着きました。もともと私は文系気質なんですよ。今でも数式をみたらアレルギーが出そうになる(笑)。

――データ分析においても、クリエーティビティが重要になる面もありますか?

非常にあると思います。特にデータ課題を“ストーリー”にすることがとても重要です。データで創作という言葉はなじまないと思うかもしれませんが、言い換えると分析の設計・デザインと言えます。たとえばパワーポイントでプレゼン資料を作る際、アジェンダを作らずいきなり作り始めてもうまくいかないですよね。伝えたいメッセージがないからです。

次ページサイエンスとアート、本質は同じ
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事