そもそも消費者は、すぐに「特定の物件の問い合わせをしよう」という気持ちにはなりません。不動産のポータルサイトに来るのは「どんなところがあるかな」と漠然とした気持ちで訪れる人が大半です。そうしたユーザーの行動や変化を分析しながら、それぞれの目的に沿った情報や広告を提供し、深い接点を作って効果を最大化することが重要になってきます。
また、広告主ごとに果たしたい目的も異なります。たとえば、新築マンションを扱う会社は、モデルルームへの来場につなげたい。不動産賃貸会社なら資料請求をしてほしいワケです。私たちはこうした個別のニーズを受け、目標件数の達成のためにSUUMOがTVや新聞・WEBなどに露出すべき広告量をデータ分析して導き出します。広告主の掲げる目標値とSUUMOがかけるべき広告予算の最適な均衡点を探るのです。
毎月1000万人近くの方がSUUMOに訪れる中、真剣に検討してくれる人をできるだけコストをかけず、最大の効果を得る方法で集客する。そのための広告ポートフォリオを提案しています。
――営業のイメージの強いリクルートが、なぜ今、データマーケティングなのですか?
たまたまSUUMOのビジネスが、データ活用と相性のいいタイミングに差しかかっているだけなのです。リクルートはやはり今も営業が強く、個のキャラクターが立つカルチャーを持っていて、新しいビジネスを生み出し、成長させていくところに強みがあります。これは、紙であろうが、ネットであろうが同じです。
ビジネスには、誕生→成長→成熟→衰退というライフサイクルがありますが、今のSUUMOは成長期から成熟期に至る段階にあります。プロモーションを積極的に進めてユーザー数を増やすよりも、訪問してくださっているユーザーのロイヤリティを上げたり、広告主の広告効果をコツコツと上げたりする段階です。データ分析はこの成熟期のビジネスと非常に相性がいいのです。
――もともとデータ活用をしよう、というマインドがリクルートの社内に?
いえ、そんなことはありません。私はもともと、リクルートには3年前に転職してきたのですが、それまで住まいカンパニーにデータ分析の部署はありませんでした。「ないのなら勝手にやってしまえ」と、広告効果をシミュレーションできるアルゴリズムを自分で開発したんです。
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