北朝鮮交渉では「金体制の保証」が不可欠だ

人道問題から目を背けることはできない

多くの専門家が言うように、金委員長が核兵器開発を推し進めてきた最大の動機が仮に南北統一にあったのだとすれば、統一に向けた別の道筋を示すことで金委員長が非核化の公約を守る可能性は大幅に高まる。米国が南北統一の後ろ盾となれば、韓国国民の間でも統一を支持する声が増えるはずだ。南北統一のように複雑かつ長期間を要する事業を途中で挫折させずに前に進めていくためには、世論のサポートが欠かせない。

金体制が受け入れやすい状況が必要

さらに、米国が南北統一に前向きなスタンスを示せば、それが刺激材料となって中国と日本がそれぞれ独自に外交および資金面での支援を申し出てくる可能性は大いにある。統一にかかる費用の一部を北朝鮮への経済支援に組み込む形とし、核の放棄に加えて、日本人拉致問題のような懸案事項の解決に対する見返りとすることもできるだろう。また、日本からの戦後補償を統一のための財源に組み入れることも可能だ。

関係国からの外交および経済的な支援を得て、南北統一への道筋が見えてきた段階になってようやく、北朝鮮の深刻な人権問題の解決へと議論を進めることができる。

この段階になれば、韓国と国際社会はともに経済的な影響力をテコに、人道問題に関して改革を進めるよう北朝鮮を説得できるようになっているはずだ。連邦制を通じて南北政府の関係がより緊密なものとなっていれば、改革実現の可能性はさらに高まる。

北朝鮮の核計画を解体することから、南北統一のロードマップを描く方向へと交渉の戦略をシフトすることで、関係国すべてが共通の目標に向けて動き出せるようになる。重要なのは、これによって、北朝鮮の人権侵害問題に対処するための状況設定が整うことだ。北朝鮮国内で本当の改革を生み出すには、金正恩体制にとって受け入れ可能な状況を作り出すしかない。

長い目で見れば、これが北朝鮮の一般国民の生活水準を引き上げ、個人の自由を拡大するための最善のアプローチだ。北朝鮮にある政治犯収容所も、これでなくなるだろう。

(文:マーカス・ベル)

筆者のマーカス・ベル氏は社会文化人類学者で英シェフィールド大学講師、ジェフリー・ファティグ氏は韓国ハンギョレ新聞英語版の副編集長で以前は米国務省のスピーチライターを務めていた。
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