しかし、従来の「ブミプトラ政治」はもはやそのままでは維持できなくなりつつある。今回の選挙でも、BNからブミプトラが離れていく傾向が表れてきた。
マハティールは新政権の首相として「ブミプトラ政治」についてどのような方針で臨むか注目されている。
米国との関係
マハティールの対外政策も特色があった。特に、米国との関係はぎごちなかった。米国からアンワルの裁判が不当だと批判された時も一言のもとにはねつけた。
マレーシアと米国との関係はナジブ前首相の時代、かなり前進した。それだけにマハティールの下で米国との関係にどのような影響が生じるか、米国では懸念の声が上がっている。
アンワルはマハティールとは内政についても対外関係についても考えがかなり違っている。マハティールがマレー人とイスラムを重視する傾向が強いのに対し、アンワルはリベラルであり、英米の有名大学で客員教授も務めた国際派である。
また、アンワルは、「ブミプトラ政治」の修正を主張してきた。そのために、マハティールから「イスラエル寄りだ」と非難されたこともあった。要するに、こちこちのイスラムではないのだろう。
当然米国との関係でもマハティールとは違っており、米国内ではアンワル登場への期待が高まっている。
日本としても、PHの新政権とどのような関係を築いていくか、重要な岐路に差し掛かっている。
かつてマハティールは公然と日本重視を標榜しており、日本人には親しみ感があった。
一方、アンワルは日本から見てあまりにも特殊な人物であった。日本は有罪判決を受けたことが理由でアンワルの日本への入国を拒否し、アンワルが日本政府を批判したこともあった。アンワルは欧米諸国と肌が合う一方、日本とは疎遠であったが、今後日本としては、そのような異質な面は克服し、アンワルとの間でも日・マレーシア関係を増進させるための努力が必要だ。
アンワルも今は日本と重要な戦略的パートナーとなることを期待しているという。マレーシアは、ASEANの重要メンバーでありながら、イスラムを通じて中東諸国との関係が深い。日本にとっても重要な国である。
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