42歳「社会科見学」に鉱脈を得た男の放浪人生 ミクシィのつながりが思わぬ起点となった

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ただ、実際に訪れてみると、池島は非常に楽しかった。地下にある巨大な炭坑施設、火力発電所の廃墟、今や誰も住まないアパート群……池島ならではのダイナミックな風景を見られてとても感動した。僕は自分の連載しているルポや漫画で池島の紹介をした。他の人たちもさまざまな媒体で情報をアウトプットしたと思う。

小島さんの活動により、ほとんど誰も知らなかった池島は徐々に有名になっていった。NHKの人気番組『ブラタモリ』でも小島さんはタモリさんも案内した。

順調に地域おこしをしていたが、地域おこし協力隊は3年の期間限定だ。刻々と終わりの時は近づいてくる。

「終わるギリギリまで次の仕事は決まっていませんでした。市からは終了の半年前に『私たちも次の仕事を探してみますね』と提案がありましたが、結局それ以降動きはなかったです」

軍艦島3Dデータを元に作った模型

そうこうしているうちに、長崎大学から軍艦島の3Dデータを作成するプロジェクトの研究員として呼ばれ、協力隊は任期を1カ月残し辞職した。大学の職場ではインフラの点検診断を行う道守(みちもり)を養成する講座をひらいており、それの事務員や、講義も担当した。給料が支払われるので、生活は安定した。

鹿児島へ移住

そんなある日、何気なく鹿児島R不動産のホームページを眺めていた。R不動産とは一風変わった物件を紹介している不動産会社で東京、大阪、神戸など全国に11の支部がある。

「そこで鹿児島の武家屋敷を見つけてしまったんですよね。もともと鹿児島に住もうというつもりはなかったんです。ただこの物件を見つけちゃったんで……。この機会を逃したら、もう武家屋敷に住む機会はないだろうなって思って。2017年の1月に下見に行ったときに『住みたいです!!』って言ってしまいました。そして3カ月後には荷物を持って引っ越してきました」

大学はやめて、久しぶりに完全なフリーランスになった。

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