40歳、供養業から農林業に到達した男の悟り

職業による自己実現が人生の目標じゃない

山崎さんは供養業界を離れ、農業と林業に勤しんでいる(筆者撮影)
これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむと古田雄介が神髄を紡ぐ連載の第37回。

山崎周亮さん(40歳)に出会ったのは4年前。現在の日本にあった死と葬送の課題に向き合うNPO法人のイベントを取材したときのことだった。当時、山崎さんは法人の関西事務所を任されており、イベントでも全体のパーツをつなぐ重要なポストを担当している様子だった。スーツ姿で1~2世代上のメンバーと談笑しながら、外国語を駆使して海外ゲストとやり取りし、プロジェクトの進行に合わせてスタッフに適切な指示を送り、全体の流れを俯瞰する。オーケストラの指揮者のようだった。

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初対面の筆者にも気さくに話しかけてくれ、2人のお子さんの話を楽しそうにしていたのを覚えている。後にFacebookでつながると、前職は遺骨を納めて手元に置いておくための「手元供養品」を扱う企業の店長兼開発担当者だとわかった。さらに掘り下げると、20代の頃にバックパッカーとして24カ国を渡り歩いた経験があることも判明。そして現在、山崎さんは供養業界を離れ、農業と林業に勤しんでいる。7月には狩猟免許試験も受ける予定だ。

会うたび、Facebookのタイムラインに上がるたびに別の一面を覗かせてくる謎の人物。バイタリティにあふれるが押しつけがましさのない彼は、本当のところ何者でどこに向かっているのか。桜が散った頃、京都宇治のお住まいにお邪魔して、身重の奥さんが見守るなかでじっくりとインタビューさせてもらった。

一本道をひたすら突き進んでいる

どうやら山崎さんは、一本道をひたすら突き進んでいる。

山崎さんは1977年に生まれ、物心ついた頃から小学校2年生まで埼玉県で育った。家族はデベロッパーとして全国を股にかける父と母、1つ齢上の兄と下に弟2人。小学校3年生に上がった頃京都府宇治市に転居するが、幼少期は極度の引っ込み思案だったという。

「家族で寿司を食べに行っても、弟に『タコ握ってって言って』と小声で頼むくらい。家族や友達以外と話すのがすごく恥ずかしかったんですよ」

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