エアレース千葉、4年目に感じた今後の課題 前年王者の室屋義秀選手は3連覇ならず敗戦

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中央右から順に優勝したマット・ホール選手、2位のマイケル・グーリアン選手、3位のマルティン・ソンカ選手(写真:Balazs Gardi/Red Bull Content Pool)

室屋は、6月23日、24日に開催される次戦ブタペスト戦(ハンガリー)に向け気持ちを切り替えている。

昨年のブタペストでは3位と良い結果を残しており期待はできるだろう。

室屋が目標に掲げる2年連続世界王者への道は険しいが、シーズンはまだ5戦ある。

室屋義秀の戦いは、まだ終わったわけではない。

課題も感じた千葉大会

今年で4年目を迎えた千葉大会は、世界各地を転戦するエアレースの中でも最も多い観客動員を誇る大会に成長した。ただ、興行としての持続可能性に課題が残る点は、最後に指摘しておきたい。

レッドブル・エアレースのゼネラル・マネジャーのエリック・ウルフ氏(左から2人目)との合同会見で話した松坂氏(左から1人目)、熊谷市長(右から2人目)、小川智之千葉市議会議員(右から1人目)(筆者撮影)

5月27日に開かれた会見で、千葉市議会議員の松坂吉則氏は、エアレース千葉大会が及ぼす経済波及効果の試算は約100億円になると述べた。

まさに千葉市にとっても年に一度のビッグイベントといえるだろう。

ただ、過去3年間で動員した観客数は、2015年に12万人、その後2年連続で9万人の延べ30万人。今回は2日間合計で約7万人まで減少した。

決勝のチケット価格は、単日9000円(税込み)から。室屋義秀応援シートエリアは、3万5000円(同、2日券通し券のみ)、さらには30万円(同、2日間通し券のみ)のプレミアムスカイラウンジを設けるなど幅広い価格設定だ。決してエアレースを見るためのチケット価格は、ほかの娯楽に比べても安くはない。

初年度は物珍しさから12万人もの観客を動員したが、今年は昨年比で観客が2万人減ったことを考えると、来年以降開催する際に興行としていかに発展させていくかを検討する必要があるだろう。

「初開催の3年前と比べたら注目度も知名度も数百倍にまで広がった」と室屋は述懐するように、室屋の活躍やワールドチャンピオンとなった効果で、日本にもレッドブル・エアレースは根づき始めたのは事実だ。

千葉市長の熊谷俊人氏は「エアレースを単発のイベントで終わらせずに、街の中で連携して連続性をもって展開していきたい。来年も千葉市としては、ぜひ開催したい」と会見で話した。

もちろん、開催地である千葉市においても、エアレースを通じて世界中に「千葉、幕張」という地名が連呼され、千葉市内も映し出されることで、地域としての知名度向上には大きな効果がある。

これまでは、室屋の一挙手一投足に注目が集まりがちであったが、エアレースというイベントをさらに盛り上げるためにはどうすれば良いか、地元行政や企業、大会主催者が一体となった取り組みをいっそう強化していくことが求められている。

(文中一部敬称略)

佐久間 秀実 スポーツライター

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さくま ひでみ / Hidemi Sakuma

1976年生まれ。楽しさ・喜び・感動を伝えたい‼︎トップアスリートや著名人に単独インタビュー。国や企業についても執筆。趣味はランニング、サッカー、卓球等のスポーツ。浦和レッズユース第1期生。琵琶湖を徒歩1周(3日)。プロフィール写真は、龍馬の生まれたまち記念館(高知県)で撮影。

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