エアレース、「ついにフランス開催」の舞台裏 航空先進国なのに、なぜ時間が掛かったのか
5月26日と27日はレッドブル・エアレースの第3戦、千葉大会が開催される。2017年シーズンの王者である室屋義秀選手にとっては母国開催で3年連続優勝の期待がかかる大会だ。
第2戦(4月21・22日)が開催されたのはフランス・カンヌ。この地は5月19日には第71回カンヌ国際映画祭の授賞式が開かれ、日本の是枝裕和監督の「万引き家族」が「パルムドール」に輝くなど映画祭の会場としても知名度が高い。そのメイン会場「パレ・デ・フェスティバル」すぐ裏にあるカンヌ湾にレースのコーストラックが設営されたのだった。
観客席となる長いビーチには数万人もの大観衆がのんびりとしながらもレースに熱い視線を注いでいた。大会は盛大に行われ、事故やトラブルなどもなく無事に終了した。
ディフェンディングチャンピオンの室屋は表彰台を逃し、惜しくも4位入賞となったが、この大会はフランスでレッドブル・エアレースが開催された初めての大会だった。
フランスは航空文化先進国
米国でライト兄弟が世界で初めて空を飛ぶ機械「飛行機」を開発したのは1903年。それからの100年余りで飛行機は長く遠くに飛べるようになっていった。だが、その後の発展を担ったのはフランスであることは知らない方も多いだろう。
「ライト兄弟が飛行機を発明してから後の航空史の大部分を、フランスが築いてきました。飛行機をしっかりと操縦しコントロールできるような発明をしたのもフランスですから」
そう語るのは、フランスのニース大学で宇宙航空史の研究を続けているフランス人のフィリップ・ヤング氏。彼は宇宙と飛行機への夢を抱き続け、ヨーロッパを代表する宇宙航空産業メーカーのアエロスパシアル社で衛星に関わるエンジニアとして働いていたこともあった。
飛行機が誕生する120年以上も前の1783年に、フランスのモンゴルフィエ兄弟が熱気球に人を乗せた飛行を世界で初めて成功させた。当時、気球は裕福な人々のためのスポーツという位置付けであったが、19世紀に入ると気球は軍事偵察機としても使われるようになっていたという。
気球が誕生し操縦できるようになったのも、フランスが発祥とのことだ。飛行機の操縦桿、ペダルの操作もフランスで発明されている。
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