エアレース、「ついにフランス開催」の舞台裏 航空先進国なのに、なぜ時間が掛かったのか

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「航空産業のすべての重要なポイントをフランスが担ってきています。フランスで世界初の産業用飛行機が作られ、パイロットの養成学校も世界で初めて設立されました。そして、世界中の航空スポーツを統括しエアレースの公認団体でもあるFAI(国際航空連盟)が創立された場所がパリ(現在はスイス・ローザンヌ)でした」(フィリップ氏)

FAIは、1905年、気球が盛んな国の代表者たちがパリに集まり、国際基準を作り気球をスポーツとして発展させる目的で創立された。FAIの主な目的は、航空スポーツを通じて、政治、人種、宗教の枠を超えて、世界中で親善と友好を深め、国際平和を促進することとなっており、それは今も変わっていない。

世界初の飛行機レースはフランスで開催された

1909年に、世界初の飛行機レースがフランスのランスで開催された。飛行距離は約10kmで、時速80km程の速さで平均時速が速いパイロットが勝者となったそうだ。

「1913年、カンヌとニースまで(約30km)やカンヌからモナコまで(約50㎞)の間を、お金持ちが飛行機に乗って行きました」(フィリップ氏)

これは人を乗せて輸送することを目的とする世界初の旅客飛行にもなった。また同年に、ローラン・ギャロスが世界で初めて地中海横断飛行を成功させ、ジャック・シュナイダーは世界初の水上機スピードレースを開催した。大富豪のシュナイダーは、世界各国を結ぶ航空機を滑走路ではなく河川や湖で飛ばすべきであると考え、水上機での大規模レースを実施したのであった。

飛行機の草創記にカンヌやモナコでは、実にさまざまな種類の飛行機の競技会が開催されていた。直線のコースを競うもの、パイロンのコースを回るもの、正確な着陸を競うものなど多くの競技が誕生したのだ。

カンヌのビーチでは多くの観客がエアレースを楽しんだ(筆者撮影)

レッドブル・エアレースのはじまりは2003年だ。最高時速が370㎞に達し、パイロンと呼ばれる障害物の間を縫うようにレーストラックを飛行し、現在では「空のF1」とも呼ばれる。

レッドブルは、多くのエクストリームスポーツの主催や支援をしながら競技を発展させていくことを目的として、「翼を授け」続けている。同社のスポーツ部門は、世界最高レベルのレース機が正確な技術でもってタイムを競い合う三次元モータースポーツ「レッドブル・エアレース」を考え出した。

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