エアレース、「ついにフランス開催」の舞台裏 航空先進国なのに、なぜ時間が掛かったのか
今シーズンのエアレースには、14人のパイロットのうちフランス人選手はニコラス・イワノフ選手、フランソワ・ルボット選手、ミカエル・ブラジョー選手の3人が参戦している。
ブラジョー選手はカンヌ大会で室屋選手に次ぐ5位入賞を果たした。3選手とも母国開催への喜びと感謝を口にしていた。
2015年にパリで同時多発テロが起きて以来、フランス国内では度々テロが発生している。エアレースカンヌ大会開催1カ月前には、南フランスのカルカッソンヌで連続発砲事件も発生した。会場周辺には多くのフランス軍の兵士、警察官、警備員が待機し、入場ゲートでの荷物チェックは観客だけでなくメディアに対しても厳戒態勢のもとで行われた。
フランスについては、他国と比較しても安全面でクリアするにはさまざまな観点から考慮しなければならず、そのため初開催までに時間がかかったのではないかと筆者は感じた。
次戦の開催地は千葉幕張
第3戦の会場は千葉県立幕張海浜公園で、5月26日に予選、27日に決勝が行われる。
2015年から日本での開催が始まり、今回が4度目の開催だ。千葉大会は、世界各地を転戦するエアレースの中でも屈指の観客動員数を誇り、過去3年間の開催で延べ30万人以上の入場者数だ。
もちろん日本での開催も、とんとん拍子に進んだわけではない。
これまで会場周辺では、エアレース機のエンジン音による騒音で近隣住民や学校から苦情もあった。
5月1日に、離発着の拠点となる臨時の滑走路脇に高層ホテルが建設され滑走路の使用が危ぶまれる事態もあった。ホテルを無人にすることで国土交通省の安全基準をクリアし、特例として使用許可が得られた。
エアレースは、行政である千葉市や国交省だけでなく多くの住民の協力があって開催される大会ともいえる。
フランス人3選手だけでなく、世界最高峰のパイロットたちが、しのぎを削る中、世界王者である室屋の千葉3連覇もそう簡単ではない。世界屈指の極限レースを目にする瞬間はもう目前に迫っている。
(文中一部敬称略)
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