エアレース、「ついにフランス開催」の舞台裏 航空先進国なのに、なぜ時間が掛かったのか

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まずオーストリアのツェルトベクでエアショーを行うと、2004年に3カ国3会場でレースを実施した。エアレースは、2005年から世界7都市で開催されるようになってから年々発展していったが、安全基準の見直しを理由に2011年から3年間休止されていた。

エアレースは2014年に新ルールと共に復活を遂げ、現在では室屋選手を含む14人のトップパイロットたちによる極限レースが世界8会場で行われている。

そうであれば、なぜ今までフランスでエアレースが開催されなかったのだろうか。

「フランスでレッドブル・エアレースを開催したいという話は随分前からあったのですが、市、県、航空行政との調整が非常に難しく、これを乗り越えるまでに時間がかかり大変でした。フランスは航空文化の歴史があり先端の地でありますが、安全基準のハードルが高過ぎましたよ」(フィリップ氏)

エアレースはFAI(国際航空連盟)の承認を受けなければ開催することはできない。世界的な安全基準をクリアし、危険なレースとならないように厳格に規制されている。これまでエアレースの競技中に墜落事故は一度も起きていないが、大会前に行われる練習時にパイロットが軽傷となる事故が一度起きている。

フランス初開催までに入念なやり取り

フランス国内ではカンヌとマルセイユがエアレース開催地候補として名乗りを上げていたが、最終的にはカンヌ市長がかなり積極的に動いて誘致を成功させたのであった。

カンヌの町中にはエアレースの看板であふれていた(筆者撮影)

日本でも権威のある映画祭の会場として知られる海辺のリゾート地で、人命に関わるような大事故が起こらないように、レッドブル側と行政との間で何度も入念なやり取りが行われたそうだ。

「カンヌは、世界中のエアレースのコーストラックの中で1番綺麗な場所であると自信を持っています。それに、エアレース・マスタークラスのパイロットを3名も輩出しているので非常に嬉しいですね」と、フィリップ氏は誇らしげに語っていた。

タイムを競うエアレースと異なり、多くの技を自由に競い合うエアロバティックス世界選手権で、これまでにフランスから数多くのチャンピオンが誕生している。だが、さまざまな制限の中でスピードレースを行うエアレースは「フランス人パイロットに向いていない。もっと自由があればフランス人は強さを見せられるのでは」ともフィリップ氏は語っていた。

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