エアレース千葉、4年目に感じた今後の課題

前年王者の室屋義秀選手は3連覇ならず敗戦

室屋選手のフライト(筆者撮影)

5月26日に行われた予選は56秒403を記録し3位で通過したが、風が強く、新しく導入した垂直尾翼の操作が難しかったため、予選前に行われた3回の練習飛行では大苦戦。

パイロンヒットやインコレクトレベル(主翼の傾きを10度以内に抑え水平にエアゲートを通過しなければならない)のペナルティを受けるなど、リズムにまったく乗れないまま予選を乗り切った。

前日飛行の感触を踏まえ、垂直尾翼をうまくコントロールできなかったため、カンヌ戦まで使用していた垂直尾翼に急きょ戻して優勝を目指すことに切り替えたのだった。

決勝の相手は宿敵マット・ホール

決勝ラウンド・オブ・14では、予選12位のマット・ホール(オーストラリア)と対戦することとなった。ホールは、第2戦のカンヌ大会で優勝しているだけに侮れない相手だ。

だが、これまで何度もドラマチックな戦いを演じてきた強敵との対決は、予想もしない結末となった。

先に飛んだマット・ホールは、55秒529とかなり速いタイムをたたき出したのだ。結果的にこのタイムが決勝ラウンドでの最速タイムとなった。一方の室屋は、空で待機中にホールのタイムを知り、勝負に出なければならなくなった。

スタートから勢いに乗り果敢に攻めると、第3ゲート通過時のバーチカルターン(空に大きく弧を描き1回転する飛行)に入る際、12.41Gを記録してしまった。

エクシーディングマキシマム(最大重力負荷が12Gを超えたため即時競技中断)のペナルティにより、DNF(完走せず)で記録なしの最下位敗退となってしまったのだ。

スタートからわずか7秒後の大アクシデントに、会場にいる誰もが呆然とし、ため息が漏れた。

室屋は昨シーズンも使用してきた慣れ親しんだ垂直尾翼を、千葉の会場ではプラクティスと予選で一度も試すことないままラウンド・オブ・14で投入した。

だが、今までの感覚に頼りながらのフライトは、どうにもならない結果を招いてしまったのは確かだ。

千葉戦を制したのは、室屋を破ったマット・ホール。ファイナル4では安定したフライトにより勝利を獲得し、カンヌ戦に続く2連覇を成し遂げた。

決勝終了後の記者会見で話した室屋義秀選手(筆者撮影)

室屋は今回の惨敗を悔やんでいるが、「こういう状況も含めて背負っていくのがプロだと思います」と、目の前にある現実を素直に受け入れていた。

大事な千葉戦で1ポイントも獲得できず、1位の選手とのポイント差が17にまで開いてしまったが、まだ5戦あることを考えれば悲観することはない。

「引き続き注目してほしいです」と闘志も垣間見られるコメントで決勝終了後の会見を締めくくった。

千葉大会順位
1位 マット・ホール(オーストラリア)
2位 マイケル・グーリアン(アメリカ)
3位 マルティン・ソンカ(チェコ)
2018年総合ランキング
1位 マット・ホール 36ポイント
2位 マイケル・グーリアン 36ポイント
3位 室屋義秀 19ポイント
※5月27日時点 
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