開幕1カ月、西武の独走支える強力打線の存在 プロ野球解説者「礒部公一連載コラム」第一弾

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特に、昨年からキャプテンに任命された浅村選手。若い頃はヒットやホームランを打ちたいがために、自分勝手な打撃をしている感が見受けられたのですが、近年では状況判断打撃の打席を多く見掛けるようになってきました。キャプテンとしての自覚と責任感が見て取れます。

開幕前は投手陣が弱い印象を受けていましたが、打線が活発で点を取ってくれるからこそ、投手陣は最少失点に抑えておけば逆転してくれるという安心感が生まれてくる。これぞまさに相乗効果ですね。

この状況判断打撃、実はセ・リーグ連覇(2016・2017)をした今年のカープ打線にも同じことが言えます。田中、菊池、丸、この3人も、状況判断打撃のお手本ですね。

楽天イーグルス不振の要因は

対して、私の古巣、東北楽天ゴールデンイーグルスについては、やはり触れておかなければいけません。5月2日の試合終了時点で7勝19敗1分とパ・リーグ最下位に沈んでいます。

まさに先日(4月30日)、不振にあえぐチームの救済措置としてコーチ陣の配置転換が報道されましたが、OBである私から見ても目を覆うような試合が続いています。

まずいちばんの要因は、皆さんも推測されているとおりです。そう、打撃陣の低迷ですね。

2017年は、開幕投手に指名されていた岸投手がインフルエンザにかかり、則本選手はWBC出場のためにNPB開幕には調整が間に合わなかった。

以下の理由から投手陣が不足し、“打ち勝つ野球”をキーワードに掲げ、ペゲーロ選手を2番打者に置いてシーズンに臨んだところ、それがハマっていいスタートダッシュが切れたのです。

しかし今年は、昨年右ひじを手術をした茂木選手の調整不足に重ね、徹底マークされた外国人3選手が機能せず、いわば先述の西武打線とは真逆の、負のスパイラルに入ってしまっているように見受けられます。

そして、さらに言うならば、昨シーズン活躍した日本人選手にも「自分がやらなければ」というプレッシャーがかかり、本来の中心選手への“つなぎの野球”が、今年はまだできていないように見えます。

しかし、まだまだ序盤。なにより、いくら負けが越しても戦わなければいけないのがプロです。なんとか踏ん張ってほしい。

次の配信は2週間後。それまでに楽天の復調も期待しておきましょう!

礒部 公一 プロ野球解説者

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いそべ こういち / Koichi Isobe

元プロ野球選手。2018年からプロ野球解説者に転身。右投げ左打ち。1989〜1991年広島県立西条農業高等学校 /1992〜1996年三菱重工株式会社広島製作所 /1997〜2004年大阪近鉄バファローズ/ 2005〜2009年東北楽天ゴールデンイーグルス / 2009〜2017東北楽天ゴールデンイーグルス・コーチ。2004年、球界再編問題に近鉄最後の選手会長として労使交渉に奔走した。2005年、東北楽天ゴールデンイーグルスに創設メンバーとして加入、初代選手会長に就任するとともに、中心選手として生まれたばかりのチームを支えた。

Twitter:https://twitter.com/isobekoichi

Facebook: https://www.facebook.com/Isobekoichiofficial/

公式HP:http://inwheel.jp/isobe/

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